出版プロフェッショナル教育の再構築(1):Audible ACX

ACXUアマゾンAudibleは、全米の大学生を対象にオーディオブックのプロフェッショナル養成夏季コースACX Universityを提供している。7月13日からほぼ毎週水曜日、YouTubeでライブ送信されているが、過去のものを含めて、録画版は自由に利用できる。今年の構成は、経営・管理的な内容が充実しており、新興メディアのリーダー養成が意識されているようだ。

オーディオブックの製作から経営管理までカバー

ACXACX (Audiobook Creation Exchange)は、作家、出版社とプロフェッショナル・コミュニティをつなぐイニシアティブとして最も成功を収めたもので、ACXが昨年夏から始めたACX University (ACXU)はさらに多くが期待されている。今年のカリキュラムは、ナレーターよりプロデューサーにフォーカスしたもので、ジャンルごとの概観、声優ブランドの創造と管理、プロデューサーの仕事、キャリア構築といった内容となっている。ACXが日常的に行っている教育プログラムの延長ではなく、大学レベルの総合的なものとなっているのが目立った変化と言える。

ACXU1この数年でナレーター教育は充実しているが、それはYouTubeのAudibleページを見るとよく分かる。すべて無償教材で済んでしまうので、教育が独立したサービスになりにくいほどだ。最近では著者が語り手となって自主出版するケースが増えているが、A-Book自主出版のサポートは、ACXのフォーカスの一つだが、それによってプロの仕事への著者のリテラシーを高め、サービスへの需要を高めることにもつながるという発想がある。アマチュアリズムとプロフェッショナリズムのオープンな協調は、米国のテクノロジー文化の最も優れた部分だと筆者は考えているが、その成果が出版で開花するのを見ることができるのは嬉しい。例えば、知識・経験ゼロの著者にマイクロフォン技術を教えてくれるチュートリアルもある。第一線のプロが教える内容は分かりやすく、情報量が多い。

人材育成へ大学との提携を強化

Audible_ACXACXは大学への教育プログラムへの提供を重視しており、学部学生を対象としたワークショップをUSC、BU、Columbia、Juliard、NASDA、The New School、PACE、Purchase College、Rutgers、Stella Adler、Syracuse、NYU Tischといった有名大学、芸術系カレッジで行っている。ドラマを専門とした学科では、A-Bookナレーションを卒業創作とする例もあり、そこでは学生のキャリアパスの一つとしても設定されている。

今年のACXUが、プロデューサー、ディレクターといったA-Bookビジネスのリーダー教育に重点を置いているのは、これまでの活動の成果の上に、さらに産業を発展させる人材とネットワークの形成を目指していることを示している。この展開は筆者の予想を超えており、出版界の中でも突出している。 (鎌田、07/27/2016)

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