総合メディア・ストア「ヘイスティングス」が倒産

41608-1先月倒産した米国(本社テキサス州アマリロ)の総合メディア・ストア Hastings Entertainmentに買い手はつかず、全126店舗が10月末に閉鎖されることが明らかになった。1968年創業のヘイスティングスは、書店ではないが書籍販売で1億ドルを売上げたこともある。この業態は米国で終わりつつあるようだ。

消費ライフスタイルの変化:待っていても客は来ない

hastings2014年に売上4億2,000万ドルで1,090万ドルの赤字を出した同社は、昨年4億100万ドルの売上、1,660万ドルの損失となって存続を断念し、先月に破産申請を出していた。ヘイスティングスは競売の結果、精算専門会社に買収され、出版社や流通への債務のすべては3-600万ドルと推定される在庫品の処分で賄われるという。ボーダーズ倒産の時のような混乱はない。おそらく前から想定され準備されていたことなのだろう。

倒産の原因は、地方都市/近郊を中心とした「総合メディア・ストア」業態のオペレーションが困難になっていたことと思われる。赤字が慢性化したことから、2012年には売却を決め、2014年に、わずか2,140万ドルでDraw Another Circle, LLCに売却された。ヘイスティングス(のオーナー)は、地域ごとに特色を出したり、コミックを販売したり、書籍売場を減らして玩具コーナーを増やしたり、同業を買収したり、それなりにやることはやった。もちろんオンラインもやったが赤字を拡大しただけのようだ。これは現在Barnes & Nobleが行っていることと重なる。

dead-malls20世紀まで、本とレコード(CD)、ビデオ(DVD)はメディア商品の中心であり、これらを扱う店舗は文化産業を支えていた。しかし、経済が停滞する中では、店舗営業は高コストで、価格、規模をバランスさせて利益を確保することが難しい。商品を多角化しても、同じ問題に見舞われるだけだ。それは人々の生活が変わったからだ。インターネットによって人々の生活は変わり、たいていのものはオンラインで買うのが合理的になった。店舗が無用になったわけでないことは、アマゾンが大規模出店を考慮していることでも明らかだ。しかし、店舗だけではペイしないし、地域や消費者特性に最適化した店舗は可能だが、かつてのショッピングセンターは構造的にリスクが高い。

1980年代は不況だったが、企業はまだ耐えることで対応できた。いまも忍耐は必要だが、過去の延長上では報われない。重要なのは顧客であって、顧客なしでは商品も店舗も意味を持たない。 (鎌田、07/27/2016)

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