停滞する雑誌ビジネスのデジタル化(1)

tabletlead_Pew米国のメディア・シンクタンク、ピュー・センター(PRC)が、2015年の雑誌(news magazine)市場に関する調査レポートを発表した。書籍と同様、雑誌のデジタル化のほうも遅々としている。こちらは書籍以上に、フォーマットよりも、ビジネスモデルとプロセスのオペレーションが重要となるためだ。しかしそう時間はない。

デジタル版は依然として低空飛行

PRC2印刷雑誌の単品販売部数は3%減だが、調査対象の14誌の数字は37%減から65%増まで差がありすぎる。デジタルでは、定期購読も単品販売もともに増えているが、複数の雑誌をバンドルしているプラットフォームが増加し、それらの計上方法が異なるために前年との比較が困難になっている、とPRCは述べている。

Texture-App米国の場合、雑誌発行部数のほとんどは定期購読に支えられている。2015年の定期購読者数は14誌平均で88万部(前年比ー2%)。これは特別割引その他の販促の成果によるもので、それがなければ減少幅は大きかったと考えられている。大幅に部数を減らした雑誌もあり、Timeはー8%。The Nationは2014年(-18%)に続いてー12%と不振が続いている。

デジタル購読数は1誌平均3万6,000部で、増加率は前年比6%。全定期購読者数の4%に過ぎないし、増えてもいない。増加はほとんど、The Atlantic、New York Magazine、Bloomberg Businessweekの3誌がそれぞれ60%あまり増加したことによる、というから全体としての増加傾向は認められない、と見るのが正しい。ニュース雑誌の一部売りは増加しており、14誌平均で30%あまりの増加で1.2万部、New York Magazineは64%増の1.7万部、Vanity Fair、Time、Fortuneも30%だった。「1部売り」の95%を支えているのは、実際にはTexture、Ready、Magzter Goldなどの定額制サービスによるものだ。

PJ_2016.06.15_state-of-the-news-media_news-magazines-01印刷広告費の減収に苦しむ出版社としては、伸び悩む販売収入よりもサイトの広告収入の重要性が増している。PRCでは、オンライントラフィック解析のcomScoreの協力を得て、オンライン上でのオーディエンスの行動の解析を行っている。対象は12誌で、4Q14から4Q15までの月間ビジター数、アクセス時間(min.)の増減を、デスクトップとモバイルに分けて記録している。全体としてみて、ユニークビジター数の増加に滞留時間が伴っていない。熱心な読者を増加させている雑誌は少ないようだ。とくにモバイルで顕著に時間を減らした雑誌が目立っている。モバイル・ユーザーの増加と時間の減少は並行する現象かもしれない。 (鎌田、07/05/2016)

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