B&Nは21世紀の書店として再生できるか

Ron_BoireBarnes & Nobleは、3年足らずで3人目となるロン・ボイリーCEO(=写真)が退任すると簡潔に発表した(USA Today, 08/16)。レナード・リッジオ会長兼創業者は、来月に予定していた勇退を延期し、当面の業務を代行する。この会社は危機への傾斜を強めてからも、同じ状態で漂流しているのは、やはりタイタニックらしい。

再生への7つの提言

B&N stores2世界最大の書店にかつての面影はない。この6年間で店舗は720から640に減った。ボイリー氏は「書籍以外」にかなり手を出し、それで売上の減少を補おうとしたようだが、そのようなことで本業の落ち込みをカバーできるはずはなかった。「印刷本は復活した」という、むなしい呪文のような新聞記事も、錯覚によるものであることが見えてきた。TeleRead (08/17)でデイヴィッド・ロスマン氏がいくつかの処方箋を提起している。いずれも正論だが、たぶんほかの分かりやすい方法を選ぶだろう。

  1. 女性CEOを迎える。書店の熱心な顧客は女性だ。男性が来ることも望ましいが、現実問題として女性にしっかり買ってもらうことが肝心だ。
  2. リッジオ氏に取締役・相談役にまで退いていただく。
  3. オフラインとオンラインの顧客サービスを改善する。
  4. NookのDRMを軽いものに変え、Kindleと差別化する。
  5. サムスンとの共同タブレットより、他のデバイス用アプリを重視
  6. オフラインとオンラインの両面でインディーズの支援を強化する
  7. 出版社との間での 'pay-to-play' (金を払えば棚に出す)という商法を減らす。大出版社との販促協力で稼ぐやり方から、市場=読者に委ねる方向を強める。

ゲームのルールは変わった

1. 「女性CEO」については、HPやYahoo!との悪い連想(身売り前の「女性」抜擢)を無視すれば妥当だろう。M&Aや価格ネゴというパワー重視で合理化された出版界の男性優位は、経営を硬直させてきた。

7.について、ここでは解説をしないが、だいたいお分かりと思う。これまでのB&N(大規模書店)の商売は、「良い場所に置けば売れる」という商品の性質を利用して、大出版社から多くを得ることを競争力としてきた。「ニューヨーク」が書籍出版の中心だったのは、力と力がぶつかるパワーゲームが行われてきたからだ。それはそれで人間臭くて面白い。B&Nは700もの大型店舗を全米に展開し、出版社はそれに対抗するために買収によって「ビッグ」になった。アマゾン以前のパワー・ゲームは、消費者・読者の知らないところで展開されていた。

ロスマン氏の提言は、アマゾン(インターネット・コマース)の登場によって出版市場のルールは根本的に変わり、消費者・読者の支持を受けないゲームは不可能である。したがってその方向でビジョンを定めない限り、生き残りは無理だ、というものだ。書店も出版社も、新しいルールに適応することは可能だ。独立系の書店は、消費者に支持されて生き残るだろう。しかし、旧文化で育った人々、そこで権力と繁栄を享受してきた人々にとっては困難なことだろう。 (鎌田、08/18/2016)

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