収入の道を探すWattpad

Wattpad-280x150ソーシャル出版プラットフォームのWattpadは、著者のための収入スキームとして、Wattpad Futures (WF)という広告を導入すると発表した。一部のストーリーの章の間に広告を挿入し、著者は広告閲覧数に応じて収入を得るというもの。これまで収入源の開拓に熱心でなかった同社は、持続可能なビジネスモデルを構築できるだろうか。

初の「隙間広告」を導入

Wattpad Studiosのパートナーシップ担当、アシュレイ・ガードナー部長がPublishers Weeklyに語ったところでは、この「隙間広告」広告は、動画広告からスタートし、最終的にディスプレイ広告を含むものとする。何章かごと、あるいは30分読むごとに出現する。これまで100名のライターがWFのベータテストに参加し、月に1,000ドル近くを稼いだが、2,000ドル近くに達した例もあったという。The Digital Reader (08/17)のネイト・ホフェルダー氏は、広告ブロックが広がっている現在、この程度では十分ではないと見ている。

Wattpad_FuturesWattpadは毎月4,000万のビジターがあるが、コミュニティづくりを最優先した結果、著者のための読者獲得には大いに役立った半面、著者の収入に直接貢献するツールは提供してこなかった。WattpadはE-Bookの販売や卸で収入をシェアするというモデルを持たなかったので、幸か不幸か、ほかで出版する道を選んだと思われる。ホフェルダー氏はコミュニティの成長と収入が比例するようなビジネスモデルを描けなかったことを、欠陥としてみており、Wattpadを買収する企業(例えば楽天など)が将来解決すべきことだ、と指摘している。Wattpadがビジネスモデル問題を解決するのに許された時間はそうないと思われる。これまで5回のラウンドで11の投資家から計6,680万ドルを集めて回してきたが、将来の運命を決めるものが「隙間広告」とは心許ない気がする。

ガードナー部長によれば、この広告プログラムは、Wattpad StudiosWattpad Stars および Wattpad Brandsの延長上にあり、「作家に儲けてもらう」ものだという。もちろん、マネタイズの必要はWattpadも共有しており、100人以上のスタッフと相当なシステムを運用するコストを負担するプレッシャーは強まっているはずだ。

ソーシャルとコマーシャルの両立

2014年に、同社が表明していたコミットメントは、(1)コミュニティを築く、(2)アマゾンに買収されない、(3)利益を確保、の3つだった。2つまでを達成したのはりっぱだが、最初の目標が達成できれば、アマゾンに買収されず、いつでも利益はついてくる、という楽観があったように思われる。現実には、著者たちは、この無償コミュニティを前提としたビジネスモデルを自分でつくり、読者たちは、プッシュとプルの商業的環境に煩わされることない理想的な著者と読者の関係を体験として重ねてきた。

カナダ的鷹揚さというか、コミュニティ優先の姿勢が、Wattpadの(非商業的)成功の要因であったことは確かだろうが、アマゾンに買収されないためには、アマゾンを含めたストア、あるいは広告サービスとのインタフェースをプラットフォームとして設計し、試行錯誤を繰り返しながら稼働させていく必要があった。「ソーシャル」なサービスにおいて最も難しい部分がマネタイズであるが、「九仞の功を一簣に虧く」可能性はむしろ高い。 (鎌田、08/23/2016)

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