Audibleは、英国国立公文書館(TNA)およびブルームズベリー出版社と提携して、歴史的な書簡・証言を音声化した "In Their Own Words"(彼ら自身が語る)の創刊を発表した。過去500年あまりの歴史的文書だが、多くは未公刊で、研究者の閲覧・利用に限られてきたものだ。これをオーディオ商品にする意図は何か。
アーカイブ、出版社との提携出版事業
原本は、今年ブルームズベリー社から刊行されたヘスター・ヴェズィー博士 (Dr Hester Vaizey)の監修・キュレーションになる"In Their Own Words"。80点、6つのテーマ別コレクションから構成されており、「友、同志、恋人」「スパイと詐欺」「同盟、外交、国際関係」「抗議、革命、反乱」「醜聞、抜け穴、殺人」「文化とテクノロジーの変化」テーマは、時代別のようなアーカイブ的なものでなく、読者の関心や気分に対応したものだ。この構成は、収録対象を拡大すれば、巨大なものとすることもできるだろう。
主なコンテンツは、以下のようにリストされている。
- チャーチルからルーズヴェルト宛の大戦支援要請書簡
- 英国フォード社ダゲンハム工場女子労働者の同一賃金要求ストライキ(1968)関連文書
- 英国国
会議事堂爆破未遂(火薬陰謀)事件(1605)の密告文書
- 同性愛合法化を求める英国内務省宛公開状(1960年代)
- タイタニック号沈没に際しての甲板上の「階級対立」を嘆く書簡
- 「切り裂きジャック」がロンドン警視庁に送った暗号書簡(1880年代)
- ウガンダのイディ・アミンからエリザベス二世女王宛、独立記念式典招待状
演じるのは、ミリアム・マーゴリーズ、インディラ・ヴァルマ、マーティン・ショウ、ダニエル・メイを含む英国を代表する俳優陣。もともとメッセージ性の強い手紙やマニフェストは、彼らの肉声を借りて「本人の言葉で」歴史の中から蘇ることになった。◆ (鎌田、09/01/2016)