BookTech Award 2016有力候補

futurebook英国の The Bookseller誌は、昨年から国際的な出版ベンチャーを対象としたBookTech賞を主宰している。2016年の候補をFutureBookのモリー・フラット副編集長が紹介(10/24)しているので概要をまとめてみた。最終結果は、12月2日、ロンドンで開催されるイベントFutureBook 2016で発表される。

アイデア/計画段階のプロジェクトに限定

booktech_20162回目の BookTech Award (BTA)はルールを一部変更し、まだ第三者の出資を受けてない「シード段階」の企業に限定した。昨年までは限定がないために「出資募集」イベントとしての性格が弱かったためだ。「シード」にはアイデア段階、計画段階、クラウドファンディング段階が含まれ、まだ事業として動き出していない。アイデアや計画は第三者の評価を受けていないので、何よりも、専門家、経験者の意見が最も貴重である。それが調達可能な資金に影響する。それ以後では、ビジネス/サービス・モデル/テクノロジーの事業性評価が中心となるので、性格は違ってくる。ルール変更によってBTAはより自由な発想やアイデアが期待できるようになる。

今年のBTAは13ヵ国から30件の応募があり、主催者は多種多様なアイデアに満足しているようだ。それこそが出版の可能性を感じさせるものだからだ。以下の5件は完成度が高いもの。

出版・本・読書の可能性の解放

Publishizer(シリコンバレー)は、FutureBookの記事でも取り上げられた、著者と出版社のマッチメーキング・サービス。自主出版と在来出版のシナジーを目指しているようだ。

Kadaxis(ニューヨーク)は、データ・サイエンスを応用した「ディスカバリー」ツールで、著者・出版社に最適なメタデータ、読者には探索手段を提供する。

Joosr(英国)は、忙しい読者のために、主要な自己啓発本を20分で読める要約にしてくれるツールで定額制サービスのプラットフォームで利用できる。

Novel Effect(シアトル)は、印刷本を声に出して読むと、音声認識テーマ音楽や効果音を自動生成するシステム。

StoryTourist(スウェーデン)は、マルメ市図書館と文化財団が支援し、青少年の読書推進のために開発されたARプラットフォームで「物語のためのPokémon Go」のようなもの、とされている。

資料はまだ見ていないが、いずれも公共性があり、出版と本の可能性を拡張するアイデアであると思う。なお、前回は女性の応募が1件だったのに対し、今年は半分を占めたとのこと。これもルール変更の成果か。 (鎌田、10/27/2016)

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