Author Earningsでおなじみ、インディーズSF作家のヒュー・ハウィが、Booktrack のE-Book用サウンドトラック・プラットフォームを使い、米国ラスベガスを中心とするオルタナティヴ・ロック・バンド、イマジン・ドラゴンズの曲を織り込んだ 'Beacon 23' 拡張版をリリースする。作家とミュージシャンのコラボはめずらしい。
新しいビジネスモデルの実験
Booktrackは、E-Bookコンテンツに映画のサウンド・トラックのような音声(効果音、BGM)を埋め込むことで拡張読書体験を提供する。今回は物語の様々な箇所にイマジン・ドラゴンズの曲(Radioactive、Demons、Shots、Dream、Second Chances)が挿入されてリアリティを高める。かねてドラゴンズのファンで、もともと曲のイメージを抱きながら書いたというというハウィによれば「夢のコラボ」だという。作家のファンにとっては期待の新作になるだろう。
Booktrackの製作チームは、ストーリーと音楽が完全に融合した読書体験を提供するよう、E-Bookの中から選び出した本文と音楽の雰囲気、気分、感情が結びつく曲をペアリングさせた。このプログラムでは、アーティストと作家がそれぞれのファンとの結びつきを深め、同時に使用された音曲も販売しやすいような工夫が凝らされているという。
「ドラゴンズのファンは、好きな曲が初めて、ベストセラーSF小説の中で聴ける体験を持つことが出来る。われわれの技術を使えば、ミュージシャンと作家が、これまでに全くない形で協力してどちらのファンにも満足してもらえるということには、すぐに気がついた」とBooktrackのポール・キャメロンCEOは語っている。同社はこれがE-Bookサウンドトラックが異分野コラボレーションの可能性を切り開く最初の事例となることを期待している。
日本にもファンがいる人気ロックバンドとベストセラー作家のカップリングは、たしかにサウンドトラックの市場性、ビジネスモデルの有効性、そしてもちろんコンテンツとしてのパワーを評価する上で格好のサンプルとなるだろう。こうしたチャレンジが大出版社ではなく、インディーズから出てくるところが、時代を物語っている。◆ (鎌田、11/03/2016)