IDPFがW3C合併提案を承認

IDPF_W3C-280x150IDPFの会員投票で、W3Cとの合併に向けた理事会提案が「圧倒的多数で」承認され、細部を含めた最終案の承認に向けた作業が進められることになった。IDPFは来年1月には完了することを期待している。今後の焦点は、OverDriveのスティーブ・ポタシュCEOらが提起した懸念がどのように、どの程度解消されるかに移った。

課題は「デジタル出版コミュニティ」の再統合

懸念の一つはEPUBがどうなるか、いま一つはIDPFが代表していた「デジタル出版コミュニティ」との関係だ。EPUBはデジタルによって大きく揺れ動く「本」と「出版」の上にある。EPUB3は「ガラスの下の印刷本」から一歩を踏み出したが、それはまだ新しい本としての安定した形を見ていない。過去30年あまりの間に生まれた様々なインタフェースの整理さえ、まだ出来ていないが、それらはほとんどが商業出版の外で開発・実用されているし、伝統的な出版関係者に知られてもいないのだ。

様々な「本」と「出版」のニーズに応える、汎用性を持った「ドキュメント/出版」テクノロジーとそのドメイン(分野)別応用のための標準のアーキテクチャは、(1)構造、(2)表現、(3)機能(サービス)を含む多次元的なものとなるだろうが、それは構造と表現だけをXMLで扱っていた時代とは違った「モデル駆動」のものとなるだろう。筆者の手には余るが、大いに関心はある。はっきりしていることは、解決の可能性はW3Cにしかないだろうということだ。ただ、それには異分野のニーズを吸収し、整理し、優先度をつけるという、知性と腕力、政治力のいる作業が待っている。さしあたっては、商業出版内と教育・学術出版という隣接するところから始めなければならないだろう。それは広告と関係の深い雑誌の標準問題を解決することでもある。

IDPFのメンバー・リストには300あまりの企業と非営利団体が載っているが、会費が安い($775~5,750) IDPFでさえ、投票権を持った会員は100に満たない。そしてW3Cの会費水準は一桁高い($7,900~77,000) ので、単純に言えば、旧IDPFのほとんどはW3Cに移行できないだろう。これでは「デジタル出版コミュニティ」は継承されずに解消してしまう。

「私たちは、IDPF会員およびデジタル出版関係者が、合併への当初の賛否にかかわらず、W3C内でで重要な位置を確保した新しい出版コミュニティが、オープンでアクセス可能、互換性のあるデジタル出版エコシステムの最大化を成し遂げるべく、ともに協力していくことを願っています。」とIDPFは述べている。合併の成否は、幅広い協力の仕組みを新たに構築していくことにかかっている。これは日本にとって特に重要なことだ。標準化は誰かに任せておいてよいことではない。 (鎌田、11/10/2016)

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