Pottermoreの業績が急回復

pottermore3J.K.ローリング『ハリー・ポッター』のデジタルコンテンツ会社 Pottermoreの業績が急回復していることが明らかになった。2016年3月までの1年間の売上は前年比2倍以上の1,510万ポンドで、E-Book、A-Bookともに好調だった。一時低迷していた同社は、2015年に大きな方針転換を行って体勢を立て直しに成功した。

無謀な戦略で失速、現実路線で再度離陸へ

同社は当初直販を重視し、サードパーティが直接消費者に販売することを認めていなかったが、頼りとするソニーとの提携が失敗し、2012年には3,200万ポンドあったソニーからの版権収入は300万ポンドに落ち込んで失速した。スーザン・ジュレヴィックCEOの就任とともに現実路線に転換し、それによってiBookstoreでの拡張E-Book版の販売を可能にさせるとともに、アマゾンやアップルなどでの販売も回復したようだ。来年3月の数字は、新作 'Harry Potter and The Cursed Child or Fantastic Beasts' および短編集 'Pottermore Presents' を含むことで黒字転換するものと予想している。

harrypotter8Pottermoreはさらにモバイル版を重視する決定も行っているが、サイトのモバイル対応は新作映画の封切にフォーカスしたもので、人気は高まっているという。ニールセン調べで130万部を販売した'The Cursed Child' のE-Bookの販売状況について、具体的な数字は発表していないが、CEOは「力強いものがある」と語り、来年は『ハリー・ポッター』の初版発売20周年に合わせた企画を準備中としている。

著者によるデジタル版の直販というモデルが失敗し、現実路線への転換で回復していることが伺えるが、最初のビジネスモデルが破綻した理由については、複合的な要因というしかない。ソニーへの過剰な期待(逆もある)のうちに、戦略とロードマップを描くことなく「ファンと直接結びつく」理想に走った、というよくある失敗例だ。ローリング氏の関心がファンタジーから本格ミステリに向かったことにも関係がある。とはいえ、『ハリー・ポッター』というブランドとコンテンツは健在で、モバイルという理想的なチャネルを生かすことで、成長軌道に乗るものと思われる。Pottermoreの第一作は、空を飛ぶことはそう簡単ではなかったという教訓を残した。 (鎌田、11/24/2016)

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