新世代メディア技術に投資するハースト

hearst_logo130年あまりの歴史を持つ雑誌メディア出版のハースト社は、音声エージェントの応用技術を開発するために10名からなる特別チームを編成し、雑誌ブランドとともに開発にあたっているが、12月2日、最初のプロダクトとなるAmazon Echo Skill for Good Housekeepingを発表した。グループはITベンチャー企業BranchOut を母体としている。

IoT、機械学習などが雑誌ビジネスの基盤技術に

amazon-echo-5-26-09-pm_0ハーストは、Echo、Google Homeその他モバイル音声アプリに対応していくとしている。特定ベンダーに依存しない体制を構築したのは流石だ。創刊107年、400万部を超える女性/家庭誌 Good Housekeeping (GH)はハースト社の看板で、これから始めたのは象徴的な意味がある。最初のGH Echoアプリは、Alexaが染み抜きの方法をGHのクリーニングラボでテストした結果を基に教えてくれるもの。「私たちはこの新しい自然言語インタフェースを、コンテンツの発見とコンテンツとのインタラクションの手段として注目しています。消費者のエンゲージメントを高める手段としてますます重要になっていくでしょう。」とフィル・ワイザーCTOは述べている。

もちろん、コンテンツに関係するインタラクションには商品広告がリンクし、新しい広告手段につながることが期待される。「染み抜き」や「料理」情報では特定のブランド/商品名を入れて読むことも考えられている。またElleアプリでは占いの質問に、ハース・ブランドの新聞の占星術欄から答を選んでくれるといったワザも見せる。

Native and Emerging Technologies (NETグループ)は、雑誌ビジネスの最新ITパラダイムへの適応のために生まれた新組織で、有望なベンチャー・ビジネスと見られていたBranchOutをハーストが買収したことに由来する。BranchOutは「Facebookの中にLinkedInをつくる」というコンセプトで生まれ、数千万ドルの資金を集めたが、Facebookの方針変更で米国での継続が不可能になり分割・買収された。しかし、技術的には優秀で、とくにソーシャル・グラフについてはノウハウを持っている。ハーストがスタッフを含めて買収したのは、とくに「ソーシャル」というキーワードを重視したようだが、これもいずれ役に立つだろう。

ワイザー氏はNETのテーマとして、ボット、AI、AR、スマートTV用の映像アプリなどを挙げているが、何らかの形でAIとつながっており、マシンラーニング(機械学習)を応用したものとなるそうだ。Snapchatにも関心を持っている。過去10年に同社が制作したコンテンツの断片からも掲載誌を識別できる技術があり、応用の機会を待っているという。広告という強い動機が、コンテンツ・テクノロジーを新しい段階に導くことは確実だろう。 (鎌田、12/08/2016)

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