拡大が続くインターネット広告

iab-logoPwC USの調べによれば、米国の2016年3Qのデジタル広告市場が、前年同期比20%増の176億ドルと記録的レベルに達したことが IAB Internet Advertising Revenue Reportで発表された。Q2との比較では4.3%増。モバイル、DVその他の革新的フォーマットがますます多くの広告主を惹きつけている、としている。

米国で7兆円市場に

PwC_logo2Qまでの半期の数字は327億ドルで、前年同期比19.1%増だが、毎四半期の上昇ペースも一定で、3Qの上昇率もその延長にあるのは、まだ成熟を知らない成長期の市場であることを示している。同じペースでいけば、16年通年の市場は700億ドル近くになるはずだ。とくに成長ソーシャル広告で、16年前半の上昇率は57.1%に達している。年間100億ドル以上の拡大というのは尋常ではなく、メディアビジネスの世界で地殻変動が起きていることを示している。

インターネット広告は伝統的なメディア広告とは全く異なるものと考えたほうがよい。マーケティングの世界では、訴求するものの重心が 'importance' から 'relevance' に移行したものと考えられている。インターネットでは、権威者が見た「重要性」からパーソナルな「適切性」がより効果を発揮する。米国大統領選挙は、史上最大の広告費を、伝統メディアに投入したクリントン候補が敗北し、低予算のソーシャル広告でローカル・イシューを巧みに取り上げたトランプ候補が(選挙人の数で)圧勝した。インターネット/インタラクティブ広告の急成長には十分な根拠があるのだ。

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'importance' か 'relevance' か

情報が持つ意味はそれを読む一人一人(と広告主/商品)の持つ関係性によって異なる。インターネットの持つ対話性は、そのコンテクストから「意味」を引き出すのに役立つ。これは、印刷媒体のブランドで「重要性」を訴求してきた従来広告とは方向が逆で、関係者が戸惑うのは無理はない。印刷広告は企業と商品が消費者に知られることが重要であり、インターネット広告は逆に消費者(属性)を知ることが重要になる。出版と広告との関係は複雑で、ビジネスモデルとして別稿で検討してみたいが、広告の多様化は、コンテンツビジネスを印刷から遠ざける重要な要因といえる。

online_ad1996年に設立されたIAB (The Interactive Advertising Bureau)は、ニューヨークに本部を置くオンライン広告業界の団体で、統計や広告効果測定指標の開発など業界インフラの構築に取組んでいる。雑誌業界は、ABCなどの部数公査機構のデータが印刷雑誌の広告価値を計測する安定的基盤を提供してきたが、デジタル広告の拡大により、今後はIABデータの重要性は高まると思われる。 (鎌田、01/17/2017)

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