KDP Print=紙とE-Bookの統合: (1) PoD

PoDアマゾンは昨年夏からテストしてきたKDP Printを公開ベータ版に格上げして商業サービスへの準備に入った。これはデジタルと紙の市場を透過的にすることで、KDP本の市場を拡大するものと考えられる。これまで「印刷本の電子化」を主流としてきた出版が、「E-Bookの製本」という方向に転換する契機となるかどうかが注目される。

米・欧・日でのペーパーバック出版を容易に

KDPアマゾンはKDPをKindle、Createspaceを印刷本(PoD)出版のためのプラットフォーム・サービスとしてきた。後者は日本ではなじみがないが、米国ではPoD→オンライン販売チャネルで圧倒的な地位を築いている。しかし、アマゾンは市場に影響を与える印刷本とデジタルコンテンツの動的関係につねに注目しており、技術的環境の変化を先取りすることに神経を集中させている。PoDと結びついたデジタル印刷技術が、出版市場に新しいビジネスモデルをもたらすことを確信しているからだ。

昨年夏にKDP Printというプログラムの試行を開始した。これはKDPのプリント・オプション(ペーパーバック)でそのまま印刷本市場にアクセスできるようにするための第一歩だ。印刷・製本のコストは販売手数料から天引きされるので、著者/出版者は制作費、倉庫費用を別に用意する必要はない。Kindleのサイトでは英、西、独、仏、伊、葡、蘭の7ヵ国語が使用可能。KDPが著者のタイトルに関する情報(解説、分類、キーワード)に基づいてメタデータを自動更新してくれる。売上/版権料レポートは、紙と電子の動きを一覧できる。フォーマットの売上を見ながら価格を調整するのに必要な機能だ。

E-Bookと印刷本との距離を短く、ハードルを低く

アマゾンはこの新サービスの利点について、迅速で欠品が起きず、しかも低負担であることのほか、以下の2点を特に強調している。

  • アマゾンの米国、欧州(英、西、独、仏、伊)および日本のサイトを通じて、ペーパーバック読者にアクセスできる。
  • 版権料は出版者が設定する小売価格の最高60%から印刷費用を差引いた額を支払う。校正刷や贈呈本など、各種のオプションは将来追加される。

createspaceユーザーによれば、印刷本向けのオプションはCreatespaceほど多くはなく、例えば色校正を必須とするカラー印刷は対応せず、校正刷や販促用のコピーもないらしい。KDP PrintはあくまでKDPの簡易ペーパーバック・オプションで本格的な印刷本を約束するものではない。これは在来印刷に近いCreatespaceの品質を必要としない出版のためのものということだ。重要なことは、このサービスが、米国、欧州5ヵ国と日本での出版をカバーし、KDP出版者が海外での印刷版発行を容易に行えるようにすることだ。これは商業出版社が海外に販路を開拓する場合にも使えるチャネルとなる可能性がある。 (鎌田、02/16/2017)

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