アマゾンは3月24日、購読型アプリの利用を簡便にするビジネス向けサービス Subscribe with Amazon (SWA)を発表した。一般の出版社にはハードルが高かった「読み放題」サービスやパートワーク型出版が容易になるものだが、出版を通じて様々な商品販売に展開する起点としても注目される。
定額制サービスをサポートするSubscribe with Amazon
SWAは、雑誌、Web、ソフトウェアを中心とした、定額/更新型サービスを伴うアプリを、プラットフォームやOS、デバイスを気にせずに提供できるプラットフォームだ。実際には別な側面もあるのだが、コンテンツビジネスでは、Kindle Unlimitedのような定額制サービスをサードパーティが行うのを支援する環境として理解して間違いはない。利用するには、アマゾンにアカウントを設定し、銀行口座、税金、商品リストを登録する(詳細はガイドを参照)。
サブスクリプションは、購読者管理と多様なサービスの提供を一貫して行う環境と管理として成立する。SWAは契約や決済、配信やアクセス管理を行うものだが、コンテンツに限らず、紙の書籍や関連商品などの発送も、アマゾンのサービスを使って行うことが出来る。消費者はアマゾン・サイトのアカウントで購読/決済すれば、あとの管理はアマゾンが行う。消費者がSWA販売者のアプリやWebサイトから Login with Amazon (LWA)ボタンを使ってログインすると、購読状態のチェックが行われ、有効であればアクセスを許可される。
イニシャルコストは不要で、購読料の30%が手数料となる。2年目以降は15%と安くなるので、アプリ内決済などよりも有利だ。利用するには、アマゾンにアカウントを設定し、銀行口座、税金、商品リストを登録する(詳細はガイドを参照)。
アプリ・ストアは、OSを提供するアップルやGoogleには都合がよいものだが、一部のゲームなどを除いて、アプリで何かのコンテンツやサービスを提供しようとする企業や出版社にとっては販売が容易でなく、機能しないことのほうが多い。膨大な数の中から選ばせるようなストアでは売れないのも当然だ。
SWAはアプリ・ストアではなく決済サービスなので、小規模な企業でもサブスクリプション・モデルに参入しやすくなる。これまでの試験運用では、ディズニー、Dropbox、Sling TV、STEM Club、The Wall Street Journal、Textureなどが参加して昨年12月から販売を行ってきた。デジタル・コンテンツが多いが、STEM Clubは教育玩具や模型教材の予約販売サービスだ。「デジタル((情報/サービス)とモノ(通販)を同時に扱うことが可能な唯一のプラットフォーム」ということになるだろう。◆ (鎌田、03/28/2017)