アマゾンがKindle Createベータ版をリリース

KCreateアマゾンは、MS WordファイルからKindleフォーマットのE-Bookを容易に作成するためのオーサリング・ツールKindle Create (KC)ベータ版を新たにリリースした。日本語対応も遠くはないと思われる。こうしたツールの現状はどうなっているかをみてみたい。

一般書向けのスタンダードなオーサリング

11200555130-768x783これまでアマゾンはKindle書籍用オーサリング・ツールとして、Kids Book Creator(絵本)、Kindle Textbook Creator(教科書)、Kindle Comics Creator(マンガ)を提供しており、一般書用のKCは、これらとは別の、Word (.doc, .docx)およびPDF (.pdf)ファイルからの変換精度と効率性を高めることを意図したもの。ファイルの変換には数々の問題があり、従来のツール (KBC/KTC/KCC)でもWord/PDFには対応しているのだが、KCは過去に経験した数々の問題を解消(低減)することが期待されているはずだ。

さしあたっての情報を総合すると、KCはWord/PDFから変換されたファイルを再編集でき、章を分割して内容を膨らませたり、テキストのスタイルを変更することができる。かなり高速で、ヘルプもスムーズのようだ。KCには通常の編集機能があり、テンプレートを使って最初からテキストを追加し、Text Viewで確認しながら修正できる。Kindleでの表示は Kindle Previewer 3.8(ベータ)で検証する。これまで、KDP support forums や Chris McMullen氏のサイトでレビューされ、逐次更新されている。

KCはKindle専用のオーサリング・ツールで、EPUBなどの標準形式の出力には対応していない。しかし、Kindleフォーマットの検証には使える。商業的なオーサリング・ツールは、EPUB、Kindle(mobi/KF-8)、PDF、Word、およびHTML5などが出力可能であることを謳っているが、変換や様々なデバイスでの出力表示(のシミュレーション)は必ずしも完全ではない。当然のことながら、アマゾンはKindleに関する限りはゼロコストで出版できる環境に精を出すことになるだろう。

「帯に短い」無償E-Bookツール

toolkitsアップルのiBooks Authorは優れたEPUB3オーサリング・ツールだが、基本的にiPadに最適化されている。2015年7月以降、標準のEPUB3ブラウザをサポートするようになったが、もちろんこれも他社のプラットフォームを考慮しているわけではない。The Digital Readerの記事(04/06)は、iBooks Authorを除き、米国である程度使われていると思われる8本の編集ツールを紹介している。

Sigil (EPUB)
Jutoh:EPUB、PDF、Kindle/Windows、Linux、無償
Vellum:EPUB3/Mac、有償
Scrivener:EPUB、PDF、Kindle/Windows、Mac、有償
Calibre:EPUB、Mobi/Windows
Calligra:EPUB/Windows、Linux、Mac
eBookBurn:EPUB、Kindle/Webサービス
Pressbooks:EPUB、PDF、Kindle/Webサービス

以上の中で、SIgilはなおベータ版、Callibreはもっぱらプライベート・ライブラリ用、Scrivenerは総合的な執筆編集支援ツールとして名高いもの、Pressbooksは主にインディーズ出版向けのクラウド・サービスだ(出版以前は無償)。CalligraはOpenOffice (Open Document Format)のコミュニティ。こうしてみると、日本語出版者が利用するのに適しているものは少ない。

authoring tools多くの自主出版者や小規模出版社は、比較的単純なWord→EPUB/PDF/Kindle変換ツールで間に合っており、印刷本主体の中規模出版社はアドビのInDesign中心という状況はあまり変わっていないということなのだろう。アマゾンはKindleオーサーを用途別に拡充して脚注などの複雑なサポートしていくだろう。なるべくプレーンなファイルを読み込み、リッチな専用機能を付けて出力させるのが基本的な戦略で、他のフォーマットへの出力は難しくなる。ただし、PoDの普及で、PDFまわりのサポートは強化されると思われる。 (鎌田、04/10/2017)

Send to Kindle
Pocket

Share
Scroll Up