アマゾン・チャートで輝く自社ブランド本

AC_chartsアマゾンがベストセラー・リストAmazon Charts (AC-20)を発表して1週間が経過し、Publishers Weekly (PW, 05/25)が、このユニークなチャートの分析・評価を試みている。それによると、アマゾン出版本が他のリストより高く表示される傾向が目立った。これはアマゾン・チャートの動機の一つだったと見られている。

アマゾン・チャートを他と比較する

Amazon_20アマゾンはこれまでもベストセラーを発表しているが、これは毎時の集計で、NY Timesなどのような期間集計ではなく、順位比較は不可能だった。5月21日締のAC-20集計では、4点のアマゾン出版タイトルがランクインしている。Beneath a Scarlet Sky (Lake Union)、Say You’re Sorry (Montlake Romance)、Beach Lawyer (Thomas & Mercer)、Merciful Death (Montlake)。紙とデジタルを合算したデータで、アマゾン出版本は強味を見せている。これはAER (Author Earnings Report)でのパフォーマンスを見れば当然だろう。

これらは、NPD BookScanに基づく同じ週のPWのチャートには載っていない。これはE-Bookを含まないものだが、新たにE-Bookを含むものとしたNYTのチャートにも上位15位までの中にアマゾンのタイトルは含まれていない。NYTがアマゾン出版のKindle本をカウントしている可能性はないとみられるので、この結果も不思議ではない。アマゾン出版本は、A-Book販売や定額サービスの利用を含むアマゾンの全チャネルでなければ捕捉できないものだ。

先週のACベストセラーフィクションは、 マーガレット・アトウッドの The Handmaid’s Taleが1位、英国の出版社による The Letterが2位となっている。後者はKindle本が2ドル、ペーパーバックが9.62ドルで販売されている。

ベストセラーの「分裂」

アマゾンはかねて刊行本が「全米ベストセラー」に載らないことに不満を持っており、ACチャートの創設の最大の動機は全出版シェアの過半を占める同社のチャネルにおけるランキングをもって、アマゾンを除く印刷本のチャートである「全米ベストセラー」に対置しようと考えていたとみられる。PWの記事で指摘しているが、アマゾン出版の印刷本は、B&Nなどを始め多くの書店で(E-Bookの独占販売を理由に)ボイコットされており、事実上通販でしか流通していないと見られる。アマゾンで4位の Beneath a Scarlet Sky は、BookScanでは先週1,169冊、同じく13位の Beach Lawyer は102冊、14位の Merciful Deathなどは41冊である。

書店の「アマゾン・ボイコット」は、アマゾン本をメディアの「ベストセラー」から排除するために行われてきたようなものだが、「アマゾン出版本のアマゾン独占販売」とさせることで、著者と読者に不便をかけただけに終わったものと思われる。それにしても、ベストセラー・チャートの「分裂」はいつまで続くだろうか。アマゾンが実数を発表するか、AERなどが推定販売数でのランクを発表するまでは続きそうだ。 (鎌田、06/01/2017)

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