アップルHomePodは何をするのか?

HomePod2アップルは6月5日、音声アシスタント・スピーカーHomePodを12月に発売するとWWDCで発表した。アマゾンが先行、Googleが追走して始まった競争は、マイクロソフトに続くアップルの発表で、今年後半に新しい段階を迎えることになる。しかし、価格350ドルの本機が、どこに投入されるのかはまだ明らかではない。

「声のUI/UXデザイン」は示されず

HomePod3口の悪い人からは「トイレットペーパー」という声もあるが、アマゾンの切り株、Googleの調味料入れと比べて遜色があるとは思えない。高級Wi-Fiスピーカーとして、自動音場補正が出来るのは予想通りだが、HomePodが他のスマート・スピーカーと大きく異なるのは、家の中の音声データを端末内で処理する点だ。AlexaやGoogle Homeはクラウドにアップロードするので、プライバシー上はより安全と言える。しかし、最大でEcho Dotの5倍という価格を消費者がどう評価するかについては否定的な声が多い。また、Siriプラットフォームとそのビジネスモデルがどのようなものか、そしてスマート・アプリをどう展開するのかも問題になるだろう。

今のところ見えているのは、アマゾンとGoogleがよく似た戦略アプローチ(汎用的音声エージェント・サービスの広角展開)をとっているのに対して、アップルは機能/用途を、情報・娯楽系のほか、カーシェアリング、写真検索、フィットネス、決済などに絞り込んでいる。数にして二桁以上少ないのだ。これは同社にとっては手慣れた手法だが、パーソナル・デバイスとホーム・デバイスが同じでいいとは思えない。筆者から見ると、ライフデザインの提案が出来ていないと思えるのだ。

音声エージェントの技術的課題は多いが、最も重いのは声のUI/UXのデザインだ。複数のデバイス、無数のサービスをシンプルかつ透過的な指示で操作するのは、相当に時間がかかると思われる。アップルがUI/UXのトップ企業であることは疑いはないが、圧倒的な実績のあるビジュアル系に対して、音声系ではiPhoneのSiriサービス以外に実績はない。「ホーム」は「パーソナル」とは別概念で、これまで容易に実用化が進まなかったことが物語っている。

アップルはAIに何をやらせるつもりなのか

HomePod_1SiriのAIは、Alexaや Google Assistantほどに成熟していない可能性が強い。音声アシスタントの「知能テスト」を行っているStone Templeのデータによれば、一般的知識を試す質問への回答率と100%正答率は、Googleが68.1%/90.6%、マイクロソフトが56.5%/81.9%、アップルが21.7%%/62.2%、アマゾンは20.7%/87.0%。単純に誤答したのはSiriだけが3%弱で、他は1%以下だった。アップルとアマゾンの回答率が低いのは、両社のAIが「一般常識に弱い」ことを示し、Googleは全方位的であること、アマゾンは「偏向的」であることを示している。これはGoogleが過去数年間大規模かつ系統的なAI企業買収を手掛けてきたことの反映だ。しかし、アップルは全体として弱い。つまりクラウドでもデバイスでも違いがあまりないのだろう。

アマゾンはメディアやホームコントロール、コマース系にフォーカスし、一般常識への関心が薄いと思われる。そしてクラウドで学習を積むことで完答率を高めていくプロセスを確立しているはずだ。Googleが一般的な検索から商品広告につなげるのが得意であることは言うまでもない。それらに対して、アップルやマイクロソフトはビジネスモデルとの結びつきが弱いために、結びつけるビジネスモデルに弱いために上述した結果となる。どれが成功するかと言えば、やはりアマゾン>Google>アップル>マイクロソフトだと思う。 (鎌田、06/06/2017)

参考記事

Scroll Up