AIチャットボットの時代:(1)プラットフォーム

robot workers著者が自身の作品や仕事に関心を持つオーディエンスとコミュニケーションを保つことは、Web 2.0とともに一般化し、いまや自主出版はもちろん在来出版でもマーケティングの基本アイテムとなりつつある。そこに新たなテクノロジーが加わった。SNSを通じて昨年に一般ビジネスの世界にデビューしたAIチャットボットである。

著者にとっての「プラットフォーム」の重要性

AIチャットボット(AIを「搭載」したチャットボット)は、昨年あたりから利用が広がり、出版ビジネスでも注目されている。アマゾンはもちろんだが、出版社や著者もブログやSNSでチャットボットを使って「読者」とのコミュニケーションを拡大・進化させつつある。中でも、著者が使うことは今後の出版の方向に大きな影響を与えると思われる。それは販売やマーケティングだけでなく、創作活動にも関連するからである。自主出版で読者とのコミュニケーションの重要性を知った著者は、そのためのオンライン環境を「プラットフォーム」として意識し始めた。

John-FlemingDigital Book World (06/05/2017)で、ソフトウェア技術者のジョン・フレミング氏が「AIチャットボットが進化させる著者プラットフォーム」と題して、この新技術が提供する新しいコミュニケーション・モデル(会話的Web)とその初期段階での成功・失敗事例を評価している。いきなり身近なものになり、勘違いも少なくないなかでの貴重な解説と思われるので紹介してみたい。

著者にとっての「プラットフォーム」について、フレミング氏は、WeGrowMediaの創業者ダン・ブランクの定義を共有している。確かに優れた定義だと思う。

「プラットフォーム」とは、著者の創造作業を理解・賞玩する人々と、有意義な仕方で接触する能力だが、それは、著者の仕事に共感しそうな人々とその理由、アクセスする手段と方法を知り、同じ気持ちを持った人々が一体感を得られるようにつながるにはどうしたらよいかを知っていることを意味する。」 (ダン・ブランク、WeGrowMedia)

新しいコミュニケーション・モデル

Facebook Messenger_bots著者とコンテンツに対して最適なオーディエンスとコミュニケーションを知ることで、成功した著者/出版社は、この目標を達成する様々な技術を使いこなしてきた。SEOやソーシャル広告、アナリティクスなどがそれであるが、読者の体験をより有意義なものとする最も強力なツールがAIチャットボットである、とフレミング氏は述べている。時間や予算の制約の中で、オーディエンスに対して適切ですばやい対応を行うことは、年間70万点もの新刊が溢れる市場において喫緊の課題であって、コミュニケーションは静的なものではない。

SNSにおけるWhatsAppやFacebook Messengerの成功は、モバイル・アプリを中心に動的・対話的コミュニケーションの発展を示した。例えば、以前に行ったことのある[場所]は、コンテクストを共有するためのフォーカスで、[ブランド]に関する1対1のコミュニケーションもそうだ([著者]も[出版社]もブランドである)。1対1の対話には物理的な制約があるが、チャットボットを使うことで、[1対1]のスケールを[1対n]に解消することなく、対話体験を提供することが出来る。その名の通り。チャットボットは大きな可能性があり、大きな幻滅を残すリスクもある。広告などの比較的に軽いコミュニケーションで普及しているこの技術が、著者/出版者にとって無視できないものとなるのは自然だろう。 (鎌田、07/06/2017)

参考記事

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