独ベルテルスマンがPRHの75%確保へ

BTM世界最大の商業出版社ペンギン・ランダムハウス(PRH)の53%を保有するドイツの複合メディア企業ベルテルスマン社は、共同保有者である英国ピアソン社から22%を新たに取得すると発表した。これにより保有分は75%となり、英語圏市場で最大のPRHは、名実ともにドイツ資本傘下に入ることになる。

実務系と商業系でデジタル転換のスピードに差

ランダムハウス社とペンギン社が、ドイツと英国のそれぞれの親会社の意向で合併(53:47)したのは2013年で、これは世界最大の出版グループ、ピアソン社の教育出版への集中戦略の一環として行われたものだった。ピアソンはデジタル転換に伴い、商業出版およびニュース事業を段階的に売却してデジタルへの基盤投資に充てる意向を明確にしており、他方でベルテルスマンは、紙の持続性を確信し、「世界最大の商業出版社」を保有することを念願していた。

pearson4ピアソンの決定は、近年の業績不振による穴を埋めるためのものだが、むしろ遅すぎたと考えられている。ピアソンはファイナンシャル・タイムズ紙を日経新聞に高値で売却し、PRHの完全売却も時間の問題だった。22%の売却でピアソンが得たのは10億ドルあまりと伝えられる。総合ランク5位のPRHを保有するベルテルスマンは、一般印刷書籍という成熟市場のトップの座を固めることになるが、最近はスペイン語圏での買収に力を入れている。

ピアソンとベルテルスマンの対照的な経営判断が、それぞれにどのような結果をもたらすかは予想できない。それぞれのコア領域である、教育・実務書と商業出版、英語圏と大陸欧州では変化のスピードが違うからだ。少なくとも、ピアソンにとってはデジタルへの対応が遅れれば致命的になっていた。主力市場である米国では印刷本の縮小とデジタル転換が急速で、2月の決算では8%の減収と21%の減益を記録していた。オライリーもそうだが、ユーザーがWebに情報源を切り替えている結果、ITを含むノン・フィクション系出版の凋落はかなり顕著だ。 (鎌田、07/12/2017)

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