グラフで見る世界の出版の現況と予想

Info_G_title英語編集サービスを提供している Global English Editing (GEE)は、グローバルな出版市場の現況から各国別文学地図のようなものまでをユニークなインフォグラフィックで提供している。2016年時点で調査会社が発表した公開情報を組合わせてバランスよくまとめたもので、デジタル化の進展と読書習慣の変化などについて考える手がかりにはなる。

新刊の半分以上はデジタルになる

Info_G_top10「読書習慣」は、図書館や新聞の数から学校教育期間、コンピュータの普及などを指数化してランク15位までを表示しているが、フィンランドが第1位、ノルウェーが第2位など北欧が5位までを占め、米国は7位、ドイツ8位、フランス12位、英国は17位といったところ。残念ながら日本も韓国もない。「1週間当たりの平均読書時間」は、読書好きランキングのようなものかと思うが、ここでのトップは10.7時間のインドで、タイ (9.4時間)、中国 (8.0時間)の順でトップ3。米国 (5.7時間)、英国 (5.3時間)と「先進国」は概して低く、日本は4.1時間で30位。

Info_G_top21「ベストセラー世界ランク」が21位までリストされている。トップは5億部の『ドン・キホーテ』だが、第2位は中国語辞典『 新華字典』が4億部。ディケンズの『二都物語』2億部、『ハリー・ポッターと賢者の石』1億700万部。クリスティーの『そして誰も…』1億部と続くが、曹雪芹『紅楼夢』が並んでいるのは、中華市場の躍進を示すもの。ハリー・ポッターの7冊がすべて5,000万部以上でランクインしていたり、ナボコフ『ロリータ』が5,000万部も売っていたり、目を惹くことは多いが、この「世界通時ベストセラー」は数多くあるものの一つで、あまり意味はない。

Info_G_eBook「E-Book市場統計」は、2018年の出版における販売比率を25%と予想している。2013年の12.3%の2倍近い。2008-2015年に市場規模は、2.7億ドルから50億ドル以上に増加している。2016年の電子出版市場の規模は153億ドルで、デジタルメディア市場全体の18.2%。その8割近く(122億ドル)を米国、中国、欧州が占めている。米国のE-Book読者は9,000万人あまりで、今後5年ほどは停滞する、という意味不明な予測もある。

出版はメディアの王である!?

その他の興味深い「数字」では、教養娯楽メディア産業の中で、書籍の推定価値は1,510億ドルで、映画 (1,330億ドル)、雑誌 (1,070億ドル)、ゲーム (630億ドル)、音楽 (500億ドル)を凌いで最大であるというのもある。また「活字印刷が生まれて以降、出版された書籍は1.5億点だが、2018年には米国と英国でE-Bookの刊行がが印刷本を上回るようになる、とされている。コストを考えれば、印刷されるタイトルが絞られていくのは理解できる。この予想は来年には結果が判明しそうだ。

Info_G_media世界の出版市場の中では、米国が30%、中国が10%でドイツ9%、日本が7%。最大の潜在市場のインドは2%とされている。15兆円の7%なら1兆円はあるはずだが、出版年鑑によれば、2016年の書籍市場が7,870億円で、雑誌7,587億円との合計が1兆5,457億円(実売総金額)。雑誌とマンガという下駄を履いてようやく7%と考えたほうがよい。実質的には人口が半分の英、仏などと同レベルと考えたほうがよい。 (鎌田、07/18/2017)

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Comments

  1. 日本が「読書習慣」ランキングに姿を見せず、産業としての出版で「雑誌とマンガという下駄を履いて」ランキング上位に登場することが、日本社会の現況と日本の出版業の危機を現している。