アマゾンの書籍ビジネスはなお高成長

Amazon_logo_xアマゾンは先月末に最新 (2Q)の四半期決算を発表したが、その中に出版関連の業績数字が含まれていて目を惹く。印刷本とE-Bookを合わせた売上は前年同期比で16%の上昇、各種メディアコンテンツの定額制サービスの売上は52%増の21.6億ドル。これはAWSの42%増、41億ドルと並ぶほどのものだ。

実験と改善から生まれる持続性

今期の決算では株価との関連から収益の落込み(-51%)が注目されているが、いつも言うように、アマゾンのシンプルなビジネスモデルでは、売上の拡大ペース(前年同期比25%増)だけが問題で、あとは個々の事業や製品に関する断片的な数字に注目するほうがよいと考えている。書籍の売上が16%増というのは、在来の出版統計でみる出版界の低迷に比べて著しく高い数字で、米国の数字がこれに近いとすれば、同社がさらにシェアを高めていることになる。デジタルでは出版ビジネスの成長余地は制約されていない。

customer2アマゾンのコンテンツ関連ビジネスでは、昨年から本格展開しているリアル書店 Amazon Booksと、オーディオブックとの結びつきが強いEchoが注目されるが、前者は Amazon Prime、後者はAudibleとの関係など、複数の観点から見ないと、どの程度うまくいっているかも見えない。アマゾンの担当者の発言でも、現在はまだ複数のフォーマットの書店を実験しつつ、顧客体験(CX)に注目してデータを収集しているいる段階のようだ。通常の店舗のような、単位面積当たりの売上、時間当たりの顧客数、顧客当たりの滞留時間のようなデータと、オンラインを含めた一連の消費者行動、CXデータを重ねることで、店舗とWebの改善課題も見えやすくなるだろう。

improvementアマゾンの業績数字は、消費者行動の分析を通じてデザインされる新しい環境(ビジネスモデル)と実験を通じた大小の改善活動から生まれる。データ駆動型の実店舗や音声エージェント・スピーカーでのコンテンツ配信など、多くはまったく独自のもので、得られる知見は膨大だ。残念なことは、ほとんど社会的に共有されることがないことだろう。 (鎌田、08/03/2017)

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