在来出版社の停滞示す1-3月期

aap-logo-280x150米国出版社協会(AAP)は、StatShot に基づく2017年第1四半期の販売統計を発表したが、商業出版社1,200社のQ1は前年同期比で0.9%増と横ばいの結果だった。E-Bookはー5.3%と低迷が続き、A-Bookだけが+28.8%と高成長を続けている。この状況は在来出版社にとっても、市場全体にとっても良くない。

デジタル戦略不在が停滞を構造化

stagnationAAPの1,200社が米国の出版市場全体のどの程度を代表するかはよく分からない。しかし、伝統的な出版業界がほとんど停滞を続けていることは確かだ。分野別では、成年向けが3.4%増だったが、児童・青少年が-3.2%、宗教書-7.4%と低迷。フォーマット別では、ハードカバー(HC)が8.2%増と好調ながら、紙の6割近くを占めるペーパーバック(PB)が-4.7%で足を引っ張っている。出版社は書店で売る印刷本を優先し、HC>PB>EBという順で考えていると見られるが、定価販売のEBは不振で、全体として価格政策は有効に機能していないと思われる。

教育・学術系出版社は9,200万ドル (24.3%)の増加の4.7億ドルだが、経営・医療・法律・科学などの専門書は2.4%増に止まった。

storm3こうした数字をどう読むかはさまざまだろうが、筆者はデジタルを有効に使えていない伝統的出版社が自縄自縛の状態で構造的停滞を続けているという見方を変えていない。つまり誤った経営判断によって機会損失を重ね、戦略的な資産である著者との関係、読者の信頼、読書空間におけるステイタスを後退させている。

こうした失策によって、アマゾンは容易に地歩を拡大している。オンライン書店、E-Book/A-Bookストア、定額(貸本)サービスとすべてのチャネルで圧倒的な存在であり、自前のチャネルを使う上での障害があるとしたら、独禁法しかないだろう。おそらく出版社はそれを待っているのかもしれないが、そのシナリオの欠陥は、アマゾン自身が「出版の独占」をまったく望んでいないということだ。 (鎌田、08/08/2017)

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