KDPカウント水増しでアマゾンが初の「摘発」

amazon_logo_xKindle Unlimited (KU)の開始以来問題になってきた例の「イタチごっこ」に新展開。アマゾンは、このほどKDPの著者・出版社に対してページ数欺瞞の手口を教えるサービスを提供する5人の個人を相手取り、「仲裁申立て」(arbitration complaints)を行った。「差止め救済」「アカウント差止め」「3倍の賠償金」を求めている。

まずは穏やかに民事仲裁申立てから

米国では商業上の紛争を解決する民事訴訟に代わる法定外の手段として仲裁制度があり、1926年設立の米国仲裁協会(AAA)が扱っている。法廷というオーソドックスな方法もあったアマゾンがこの方法を使ったのは、もちろん直接法廷に持込むことを避けて抑止効果を狙ったものだ。KDPはアマゾンの自主出版プラットフォームで、KDPの約款における「違反」は、私的仲裁に委ねることが出来る。AAAの裁定の拘束力は民事法廷と同程度であるようで、一罰百戒効果も期待できると思われる。

scam1アマゾンの主張によれば、「被告」として特定された5名が、約款が禁じている数々の方法を使って、カスタマー・レビューを操作し、販売と版権料を水増しする活動を行っていたという。つまり、数人の個人が、自分や他人の本の偽のレビューを書いた行為、そして読まれたページ数を計測することで版権所有者に支払うアマゾンのシステムを悪用した行為を行ったということだ。

Publishers Weeklyの記事によれば、そのうちのNilmer Rubioのケースでは、KDPの著者に、著者の既読ページ数を水増しすることで、売上の40%をキックバックとして受け取ることを持ちかけていたという。40%というマージンの大きさが、コトの悪質性を物語っているが、実際にどのくらいのタイトルに適用されていたかは示されていない。

偽レビューとページカウント稼ぎテクニック

Alexis Pablo Marrocco とHydra Enterprisesという法人のケースでは、Learning Academyという出版社が発行した12点のために956件の偽レビューを投稿し、管理者から削除されたにもかかわらず継続したという事例が挙げられている。Thomas GlennとFree Book Serviceのケースは、既読数を人為的に水増しするテクニックを提供していたとされる。Rubioのケースではアマゾンが被ったとされる損害額の3倍とKDPの使用停止、Hydraのケースではサイトの活動停止と43万ドル前後の賠償、Thomas Glennには被害の3倍の賠償(最高7.5万ドル)。

fake_reviewアマゾンのスポークスマンは、「KDPの著者・出版者のごく一部がこうした詐欺的行為を行っており、今日のニュースは、読者と著者たちを、約款に違反してシステムへの信頼の上に成立つプログラムを悪用する人々から護る努力の一環である」と述べている。

今回の「摘発」が、氷山の一角に過ぎないであろうことは想像されるが、はやしてこうした細かい努力の延長上に、他のまともな著者・出版者への損害の極小化を期待できるのか、そもそも損害の実態がどの程度の規模になるかもまだ分からない。「被告」の5名の事例はほぼ数万ドルの単位だと考えられるが、仮に100人いたとすれば数100万ドル、1,000人で数千万ドルなので、かなりの脅威となる。KDP Select Global Fundの基金規模は月額約2,000万ドル。仮に1割を超えるとすれば重大だ。カウント詐欺防止のためのよりスマートなアルゴリズムが急務となっている。 (鎌田、09/14/2017)

参考記事

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