オーディオブックとポッドキャスト

podcast-280x150活字出版にとって音声言語コンテンツは遠いものだったが、A-Bookで身近になり、重要な市場となった。出版界はいまや「よいデジタル」として歓迎している。しかし、ラジオ放送の流れをくむインターネット・メディアのポッドキャストが急成長したことについては、まだ戸惑いがある。ポッドキャストはA-Bookの敵か味方か?

ポッドキャストは音声言語コンテンツの成長要因

Ian-Small-Head-Shot-683x1024Audibleをはじめとするストア、オーディオ出版社やニュースメディアは、ポッドキャストを積極的に使うことでほぼ一致してきたように見える。力のあるメディア企業には、聴取者を拡大し、新しいジャンルを拡大し、ビジネスモデルの可能性を示しているこのメディアを使う自信がある。あるいは忌避する理由は少ない。しかし、最近オーディオに進出を始めたインディーズ出版者にとってはそうではない。カナダ(オンタリオ州バーリントン)に本社を置く Audiobooks.comのイアン・スモール社長は、DIgital Book World (09/18)で、インディーズ出版者がこのメディアをどう使っていくべきかについてコメントしている。簡単に紹介してみよう。

Q. オーディオブックとポッドキャストの違い。誰が、どうやって、なぜ聴くのか?

audiobooks_bannerI.S. 聴衆はかなり似通っている。比較的若く、高学歴なプロフェッショナルで、スマートフォンを使う、自動車通勤者が多い。A-Bookのほうが相対的に年齢が高く、女性が多い。また可処分所得が高いが、ポッドキャストは無料であることと関係があるのだろう

Q. A-Bookビジネスの側ではポッドキャストは脅威なのか?

I.S. A-Bookへの入り口として歓迎している。音声言語コンテンツは近年になって爆発的成長を遂げており、人々はポッドキャストを通じて親しんでいる。聴取人口の拡大と成長をもたらすのは業界にとってよいことだ。

Q. A-Bookがポッドキャストとうまく協調している事例(あるいはその逆)はあるか?

I.S. ポッドキャストは、A-Bookによってコンテンツの制作品質を大幅に向上させた。それによってA-Bookと遜色ないレベルのものも登場し、実際に同名のタイトルとして発売されたものもある。

テキストを音声コンテンツとして再創造する

Q. A-Bookに出来てポッドキャストに出来ないことは?

spoken_words-280x150I.S. A-Bookは、すでに存在するテクストを別のメディアで蘇らせることで傑出している。著者自らが、読者の隣で自伝を語ってくれるようなものはほかに存在しない。最近の傾向ともいえる、ナレーターの選択や映画的音響効果などでその表現の可能性は示されているが、出版社にとって重要な投資機会でもある。

Q. 個人的にはどちらが好きか?

I.S. もちろんA-Book。そちらに肩入れしているから当然だが。とくにイマーシヴな体験をもたらす力、本に命をを吹き込む仕事が気に入っている。ポッドキャストではスポーツや今の話題、ポップ・カルチャーの話を聴く。時代から取り残されないようにね。

Q. この1年で業界はどう変わったか。

I.S. 2016年で制作本数が目立って増えたのは信じられないほどだが、2017年はさらにその数字を過去のものにする勢いだ。これはインターネット空間が家や自動車に広がってきたことに関係しているし、この業界の成長機会はそこにある。

ポッドキャストはライブな情報でA-Bookをサポート

21世紀メディアにおける最大のサプライズは、音声言語コンテンツの大規模な復活だろう。かつての主要メディアであったラジオ放送やCDをインターネット(デジタル)に置換えたことによるものだ、これによって言語コンテンツは、印刷物、E-Bookと並ぶオーディオブックを得た。

これらはインターネットの接続空間 (connected space)の下にあり、ワンクリックでリンクする。かつてメディア別に分かれていたコンテンツとそのチャネルは、この接続空間の下で再編されつつあり、その中心に印刷本のオンライン販売でスタートし、そこから帝国を築いたアマゾンが位置していることは言うまでもない。

ポッドキャストは、インターネットの強い影響下にある音声メディアだが、文字系からは相対的に独立している。出版界にとってポッドキャストを通しての放送との繋がりの復活は、読者(オーディエンス)にアクセスするメディアの獲得、アマゾンへの依存の軽減を意味する。近年の米国におけるポッドキャストの成長はA-Bookと軌を一にしている。2015年のダウンロード数は33億回に達し、成長を止めていないが、これはポッドキャスト+A-Bookを軸にした出版情報空間の構築の可能性を示していると思われる。 (鎌田、09/21/2017)

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