ガジェット時代が終わり、出版の時代が始まる

Kidle Fire HD10アマゾンは9月19日、10型タブレットFire HD 10の最新版を発売した(出荷は10月11日)。1080pのフルHD (2K)で1万5,000円(プライム限定)という価格は、対抗メーカーが見当たらず、かなりのインパクトがあると見られる。なお国内版にはAlexa Hands-Freeは付いていないが、これはAlexaのサービス開始とともに対応するだろう。

10型2Kタブレットが1万5,000円

Kidle Fire HD10_adKindle Fireは、第4世代のHDXを最後に、ガジェット競争から撤退し、以後は価格を最重視し、50ドルをベースに、100ドル、150ドルあたりにラインを引いている。プライム会員にはお得感でメディアを消費してもらい、非会員には入会してもらうという、完全にプライム前提の設定だが、絶大な効果を発揮している。iTunesのポリシー変更で、出版社/出版物にとってのiPadの利点が薄れているので、出版社にとってこのタブレットは重要になってくるだろう。

本機はAVとAlexaの利用を中心に気軽に使えるが、この価格は、絵本や図鑑などの書籍・雑誌やドキュメントにもよい。とくに日本に限れば「マンガ見開き」体験が1.5万円で可能になるのも意味がある。仕様は10型で2K (1920x1080)の解像度、MediaTekの4コアCPU、2GBのRAMと32/64GBのストーレジ(追加で256GBのSSD)、カメラは貧弱(あるいは実用レベル)で、フロントがVGA、リアが2MP、駆動時間は10時間。タブレットのカメラは通話など以外に使われていないことを見切ったものだ。

ガジェット市場を席巻するプライム・モデル

Amazon PrimeiPadにコンピュータや出版の未来を見た人がいたことが信じられないほど、昨今のタブレット市場は失速を通り越して衰退した印象を与える。これもジョブズ亡き後のアップルがこのメディアの独自性を奪い、魂を吹き込むことを止めたからだ。タブレットはスマートフォンに先駆けてコモディティになってしまったわけだが、別の仕方で「非コモディティ化」に成功しているのがアマゾンだ。つまり、タブレットをアマゾン・エコシステムの専用(汎用)ツールとして最低価格で提供し、徹底して使ってもらうというやり方だ。巧妙なのは、50ドル以下のベーシック版のほかに、用途/機能別に特徴を持たせている点で、その目的に限っては上級機とそう遜色ないものとなる。HD 10は画面にフォーカスして、プライム・ビデオなどで、スマートフォンより大きな画面へのニーズに対応している。

10型224ppiのパネルが安く入手できたので使ったということだが、IPSパネルとCPUのコストは今後も下がり続けるので、遠からず300ppiレベルが100ドル台になる。ガジェット・ファンには空しいが、出版者としては高品質・多機能のデジタル出版物の市場が拡大することを期待できるよい時代だ。 (鎌田、09/21/2017)

Print Friendly
Send to Kindle

Share

Speak Your Mind

*