アマゾンがKindleアプリを全面刷新

Kindle_iOSアマゾンは10月24日、AndroidとiOS、WindowsのKindleアプリを全面刷新し、最新のKindleデバイスのアプリに近づけた。モバイルやデスクトップの主要プラットフォーム上ででKindleを読めるようにすることは10年前からの「公約」のようなものだが、これを忠実に守って読書環境/体験の一貫性を維持するいくことは、容易なことではない。

中断/復帰の切替がスムーズに

392x696bbUIでは、ボトム・バーに現在読んでいる本をアイコン表示するのが重要な改善点。別の個所の表示、ライブラリやパーソナルなブックストアを利用した後ですぐに読みかけの本に復帰できるようになったことで、安心して中断できる。これは読書アプリの重要な機能だと思うが、これまでは中断/復帰がスムーズではなく、専用E-Readerと比べた場合の難点となっていた。同様に、検索バーはアプリ内を通じて常時利用できる。

新アプリは、アイコンなどUIデザイン(ルック&フィール)の刷新、ブックカバーのリサイズ、ナビゲーションの改善だけではなく、サービス機能の拡張が目立つ。Goodreadsと機能的に統合されたので、Kindleアプリのタブからこの読者コミュニティのサイトにアクセスすることが出来る。モノクロのKindleデバイスの世界に慣れていると、これは新鮮な体験でもある。友人の読んでいる本、薦める本をすぐに見ることが出来るソーシャルな読書体験は、Kindleアプリならではのものだ。おそらくこれはKindle10周年のハイライトということなのだろう。

チャック・ムーア副社長が「一から作り直した」と述べたように、別々に変化する異種環境のための機能の同時更新は、様々なレベルの対応が迫られる。最近では「マルチ・プラットフォーム対応」のリーディング・アプリは少なくなった。読めるようにするだけでは十分でなく、フォントやアクセシビリティなどの機能的な拡張にも対応しなければならないからである。

マルチ・プラットフォーム対応の価値

multi_platformsE-Bookストアにとって「マルチ・プラットフォーム対応」の持つ意味は小さくない。それはE-Bookの商品としての流通性と価値に関係しているからだ。可能な限りの(つまり一般に流通する汎用の)電子デバイスで読むことが出来ないのであれば、それはストア専用のコンテンツということになり、出版物としての社会性を失ってしまう(「つまり「本」ではなくなる)。アマゾンはたんにユーザーの利便性を訴求するためだけにせっせと投資をしてきたわけではなく、物理的実体を持たず、書店アプリ専用ファイルとして存在するE-Bookが本としての社会性を主張するための費用を惜しまなかったわけだ。

本来はW3Cの標準でサポートされるべきことだが、これは出版社(者)がイニシアティブをとらなければできない。しかし、在来出版社はE-Bookが市民権を得ることに熱心には見えない。結果として、「マルチ・プラットフォーム対応」はストアに任されることになり、この負担は市場への参入障壁となり、アマゾンに有利に働く。DRMと同じく、ユーザー軽視がアマゾンに利する一例だ。 (鎌田、10/26/2017)

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