Kindle 以後10年:(1)背景

KIndle20072007年11月19日、アマゾンは最初のKindleを399ドルで発売した。予定台数は5時間半で完売し、翌年4月まで在庫切れの状態が続いた。とはいえ、同年1月9日に発表され、9月16日の発売を待たずに一大センセーションとなっていたiPhoneと比べれば話題性は小さくさほど注目もされていない。

それはiPodから始まった

primer-ipodKindleは、2004年にアマゾンの研究開発施設であるLab126において、フィオナ (Fiona)というコード名で始まったプロジェクトから生まれた<E-Bookのビジネスモデルとシステム/デバイス>だ。アマゾンを駆り立てた直接的な衝撃は、アップルのiPod (2001)と ITMS (iTunes Music Store, 2003)の成功によるCDの売上減少(2004)であった。オンライン書店による書籍とCD/DVDの販売は、同社にとってコアビジネスと考えられていたからである。

ITMSによる音楽配信は、インターネット時代のコンテンツ・ビジネスモデルとして画期的なものだった。これは1920年代のラジオ放送の誕生以来のメディア・ビジネスモデルを意味した。ITMSの発表時のジョブズCEOのことば、「われわれは違法ダウンロードと戦う。訴えるつもりも、無視するつもりもない。競争するつもりだ」は、まさにインターネット時代を告げるものだった。「次は本だ」という思いはすぐに誰ともなく共有された。

アマゾンのプロジェクトは、だから他に先駆けたものではなかった。来るべき転換に対して失敗が許されない対応を迫られていたのは、アマゾンも出版社も書店と同じだった。意図的に印刷本の通販からスタートし、最大手書店を凌ぐ顧客リストを確保した同社は、コンテンツのデジタル化において有利な地歩を得ていたが、それでも本のそれが簡単ではないことを承知していた。3年の開発期間、控えめな初回発注数量はいかに慎重であったかを物語っている。

このプロジェクトの使命は、市場が立上がる前に、E-Bookとの結びつきが深いE-Readerを出して、ストアから端末までのチャネルを確立し、それによって同社にとっての戦略的意味を持つ書籍コンテンツのデジタル化の流れを主導することであった。 (鎌田、10/19/2017)

本稿は、Kindleの10年を振り返り、出版の何がどう変わって、明日にどう結びつくかを考える出版企画のための下書きとして読者と共有していただくために掲載するものです。

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