21世紀のシステム本屋 Amazon Books

ABooks_1アマゾンは11月3日、サンフランシスコ郊外ウォルナット・クリークのショッピング・モールに13番目のAmazon Books (AB)を開店した。見かけはふつうの本屋だが、Webサイトと同じく、表紙をブラウズできる展示方式で、全3,800点ながら、星4つ以上の、地域の顧客属性で絞り込まれたものだけ、というデータ駆動で効率化を目ざしている。

住民、ライバル書店も歓迎

ABooks_3れまでのパターンをみていくと、ABが将来的に100店舗を超える規模となることは間違いなく、アマゾンがそこからさらに一般商品、グローバルへの展開を考えていることは確実と思われる。同社が確信を持った新しい小売モデルがどのようなものかを考えるべき時だろう。

ベイエリアの商業紙 The Mercury News (11/02)によれば、店にはとくに地元顧客向けにキュレートされた書籍のコーナーがあり、有名なタイトルの近くには、知名度は低いが良質なお薦め本をペアリングして配置しているという。アマゾン・サイトのナビゲーションでなじみのある誘導方法だ。またこの地域(ウォルナット・クリークおよびベイエリア)の人々がオンラインでどんな本を買っているかを知ることができる。これは通常の書店以上の地域密着を示すものだ。記事には地元の来店者の好意的コメントを伝えている。図書館も地元書店の常連も「新しいオプション」を歓迎している、と記事は伝えている。ライバルとなる地元書店主もオンラインのアマゾンより歓迎しているという。

8b4bf7b0-8788-11e7-afd1-871e918bf104-1020x680店にはキュレーターがおり、その店ならではのセレクションを行う。これまでABについては、アマゾン・ベストセラーをフェースアップで陳列、価格表示なし(プライム会員優待)、といった表面的なことしか伝えられていなかったが、アマゾンの狙いがしだいに明らかになってきたと思われる。おそらく、これは21世紀のいま、本好きな人が「地元の本屋」に求めるモデルを、アマゾンなりに持続可能な形で具現化したものということだ。

アマゾン型書店は増殖する

オンラインとAIの最先端をいくアマゾンは、その限界を分析しながらABを展開している。オンラインと書店、ヒトとAIが対立するかどうかはマネジメントしだいで、またオンライン=AIでもなければ、書店=ヒトというわけでもない。オンラインはデータ駆動によってUI/UXというエンジンを得ることで自律的なリテイル・モデルを完成させた。しかし、顧客主義のアマゾンはオンライン・モデルが完全であるとは考えていない。それは利益至上の20世紀的な発想であって長期に持続可能ではない。ABは顧客主義へのコミットメントと新しいハイブリッド・モデルの立上げを告げるものと筆者は考えている。

ABooks_4重要なことは質の高いデータを現場のインテリジェンスを結びつけること、つねに検証し、フィードバックするサイクルで、アマゾンはそのシステム工学に最も長けているわけだ。システムは運用する現場とデータサイエンス・チームの連携によって賢くもなればバカにもなる。その気になれば数十店舗を同時に開店することもできる会社が、1店づつ慎重に進めているのは、方法論、手法を確立し、ツールを揃えてその後の世界展開に備えているためだろう。それによって、データ駆動の効率性ときめ細かい顧客志向を兼ね備えたアマゾン型書店はさらに強力なものとなる。 (鎌田、11/21/2017)

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