米国の「出版統計問題」が解決か!?

AuthorEarnings-280x150独自のオンライン出版統計を季刊で提供していたAuthorEarnings (AE)は1月22日、昨年2月 (Q1)を最後に更新を止めていたレポートを更新し、Q2-Q4のデータを一挙に公開するとともに、AEとは別にBookstatという本格的な(つまり有償の)出版データサービスをスタートした。米国の出版界を霧に包んできたデータ問題がこれで解消する期待が持てる。

データ・ガイがAEを復活、新たにBookstatも

Data-Guy-headshot-2-300x225米国出版におけるデータ問題とは、書店のPOSデータをベースにしたBookScanが、オンライン流通の拡大に続くE-Book市場の拡大によって、「市場の8割以上を反映する最も迅速・正確なデータ」から在来出版社と実書店の数字を反映するデータになり、紙とデジタルを通じて最大の書店と推定されるアマゾンの数字を把握できないことによる。一つの産業がこれだけ長い間データの不足に悩まされたことは例がない。しかも、出版のデジタル転換という歴史的なプロセスで、市場参加者も社会も、変化の方向やスピードが掴めなくなった。もちろん、見えない数字の世界のほとんどを押さえているアマゾンは別だ。

AEはベストセラー・インディーズ作家のヒュー・ハウィ氏と、データアナリストで作家の「データ・ガイ」の二人の協力で生まれた。著者の著者による、著者のためのプロジェクトであり、アナリティクス・マーケティング分野の調査手法を使ってオンライン市場の規模を最小の誤差で推定するAEのレポートは、2014年以来3年あまりにわたって定着し、インディーズを中心に多くの著者/出版者の指針として採用されてきた。彼らがアマゾンのAuthor Centralを通じて得る販売データは、著者のマーケティングをサポートし、オンラインに関してはかなりのデータを得ることが出来る。

bookstat-2d-logo問題は、BookScanを使ってきた大小の在来出版社が、市場データの分裂のためにフォーマットやチャネルを超えた毎日の「真のベストセラー・ランキング」をリアルタイムで得ていないことだ。この数年間出版界もかなりの努力を払ってきたが、結果として統一とは逆の方向に進んでしまった。データ・ガイは一昨年の公開イベントに登場してデータ問題の解決への姿勢を見せたが、逆にAEの更新は止まり、公開の発言も1年あまりストップしてしまった。止めるはずはないとは思っていたが、今週の発表は、AEの再開どころか新サービスBookstatの立ち上げを含むものだった。Bookstatは純然たる商業サービスで、主として一定規模以上の出版社をターゲットとしている。データとITインフラ、人材に投資を行った結果、品質とサービスが向上することが期待できる。

今週は、AEレポートの更新分(Q2-Q4 2017)をざっとレビューするとともに、Bookstatの紹介をしておきたい。 (鎌田、01/23/2018)

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