アマゾン Createspaceが今春サービス停止する理由は?

createspaceアマゾンの自主出版サービス会社 Createspaceは1月24日、現在の顧客に対して同社が今春4月20日をもって営業を停止すると通知した。受託したファイルの更新は3月15日まで受け付け、すでに発行されたタイトルには影響しない。同サービスは印刷本の出版を希望する著者に、編集・デザイン、印刷、製本までのサービスを提供していた。

自主出版の印刷本サービスは廃止されるのか

Print5サウスカロライナ州のオフィスでは、編集、デザイン、マーケティングの58名のスタッフがレイオフの対象となったという。アマゾンは業務を徹底的に見直した結果、プロフェッショナル出版サービス廃止を決定したと述べている。対象となる従業員には、職場内外への配置転換の相談に応ずるとしている。Createspaceは、LuLuやBlurbなど同種のサービスで最大のもので、自主出版の印刷本では最大のシェアを占めていた。自主出版の印刷本は、ISBNをベースにしたBowker社のデータでは、2010-2015年の5年間に57万点あまりが登録されているが、Createspaceは42万点あまりを占めた。少なくとも2016年までは市場は拡大しており、アマゾンが同サービスの不振のために同部門を廃止したとは考えにくい。

印刷本を出したい著者のために、Createspaceは生まれた。編集から製本までの工程は複雑で、品質や必要な作業量を標準化できないので、価格設定は難しい。儲けてもいけないし赤字でも困るというサービスを続けてきた理由は、Kindleエコシステムにおいて印刷本を出版しやすくするためで、逆に原稿→製本の一貫サービスを扱う事業者が少なく、価格も高いためだ。しかし印刷本は金額以上の意味がある。それは在来出版社はもちろん、著者や読者、書店にとっても同様である。著者と読者の間のすべての役割を(その必要がある限り)引受けるアマゾンも例外ではない。Createspaceがその10年あまりの歴史を綴じるとすれば、理由は他に代替が見つかった、いや完成したということなのだろう。「それならそれと」まだ言わない理由は分からない。

自主出版を超えたアプローチ

Createspaceのサービスについては、これまで「価格は高いが、しっかりした仕事で、スピードも早い」という評価が定着していた。品質と価格の点でこの間を埋めるのは難しいとみられるが、ある程度代替するものとして考えられるのは、読者側の PoDであるKDP Printだろう。アマゾンは2016年7月からKDP のとCreatespace (PoD)の販売情報を統合している。これはKDPを使う出版者が販売管理を一元化しやすくするものだが、すでにCreatespace(印刷本)をKDP Print側に一元化する計画があったのであろう。Createspaceの代替についてはすでにインディーズの話題になっていた。

paperbacksしかし、KDP Printを超えるプロフェッショナル・クォリティに近い領域はどうか。そのアプローチの一つと考えられるのが Amazon PaperbackというKDPのためのプログラムで、ベータ版が始まっている。つまり、プロフェッショナル・サービスは需要が減ったからではなく、むしろより生産性の高いプロセスで代替するために廃止された可能性が濃厚だ。それはKDPで試行され、やがて小から大までの在来出版社にまで対応が拡大される。出版業界への影響は相当大きくなりそうだ。(つづく) (鎌田、01/30/2018)

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Comments

  1. Createspaceを利用しています。2/2時点でサービス停止の通知は届いていません。Createspaceのサイトやフォーラムでもそのような文言は見つけられません。プロ向けのサービスが終了する旨のアナウンスがあるだけです。ほんとうにサービスが終了するのであれば既刊書をひきあげなければならないので、情報源を知りたいです。どこに書かれているかご教示いただけたら幸いです。