米国でも書店販売は減少

IMG_3622-300x200米国政府統計局は2月14日、2017年の書店売上が前年比3.6%落ち込んで107億3,000万ドルとなったとを発表した(速報値)。前半にやや上昇したものの、後半に減少に転じ、年末のセールは前年末のような活況を見せることはなかった。12月は8.5%(1.1億ドル)の減少(11.8億ドル)。これは書籍以外の売上を含んだ数字だが、書店経営の悪化を示すものだ。

10年間で37%の減少は構造問題

indy_bookstores-280x150The Digital Readerは、2007-2017の変化を指摘して、172億ドルあった売上が37.6%減少したと述べている。毎年2-3%減を続けて10年で3分の1が失われたというのは、日本と似たような傾向だ。問題は、こうした「不都合な事実」を業界やマスメディアが伝えることを嫌がることだ。書店は減っておらず、とくに独立系書店はむしろ増えているというのが、メディアが伝える「都市伝説」だ。たしかにB&Nが減らしているから、独立系書店はいくらか回復するかもしれない。しかし、2016年の「紙の復活」が「ぬり絵本」とアマゾンに支えられたものであったように、断片的な数字を並べて構造問題から目を遠ざけては状況はさらに悪化する。

米国の「がんばる書店」報道は、文化的郷愁やアマゾン嫌いによるものだろう。逆にアマゾンはAmazonBooksの展開を着実に進めている。それは見かけではなく、売上と利益を出して拡大する本物のビジネスだ。この会社は、紙とデジタル、書店とコマースの両立を、可能というよりはむしろ不可欠と考えているように思われる。それは印刷本が継承する物理的フォーマットの価値が大きく、E-Bookだけでは担いきれないからだ。しかし、紙の本は他のメディアにくらべてコスト的に不利があり、単独では維持できない。売れる本・儲かる本しか出版されなくなれば、メディアとして衰退・消滅する。アマゾンはこれを怖れている。だからこそ紙と書店に投資し、環境を整備することで紙を生きた出版のフォーマットとして残そうとするのだ。筆者も出版の将来は、幸か不幸か、ビジネスモデルを本の上に築いたアマゾンに懸っているとさえ思っている。

日本で「書店/独立系書店」が取上げられるのは、補助金がつくからかもしれない。書店の「空白地帯」が広がればイメージも悪化するから、政治や行政が動き、メディアも「フェイク」のニュースをつくる。これらは「フェイク」の花壇で、ほとんどが生きていない。生きていないものは何も生まない。補助金を売上に変えて増殖する「書店」は、もちろん従来の書店ではないのだ。こういう補助金は麻薬のようなもので、すぐに次の理屈と仕掛けが生まれる。これは知識コミュニケーションを担う出版を汚染し、まともな人をさらに遠ざける。売上の減少以上の危機である。 (鎌田、02/20/2017)

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