B&Nの「時間との戦い」

6194_Demos_Parneros_500wB&Nが四半期決算 (3Q)の発表に続いて「長期戦略プラン」を発表した。昨年就任したデモス・パーネロスCEOは「顧客満足の向上と長期的な利益率の向上の実現」を表明している。同時に5月からスタートする新年度に5つのプロトタイプ店舗を開店する計画を明らかにして挽回への意欲を見せた。問題は(彼が言うように)どれほどの時間が与えられるかのようだ。

生粋のリテイラーによる最後(?)の店舗改革

DParneros最初に3Q (-01/27)の業績から。売上は5.3%ダウンで12.3億ドル。損失は6,350万ドル。同一店舗での比較では-5.8%。人員整理と業務の簡素化でコストカットを徹底するという以外の具体策として発表されたのが新店舗である、14,000平方フィート(約930坪)だが、1,500坪もあるB&Nの店舗と比べれば小さめ。旧店舗はかなり昔に考えられたもので、デジタル時代のオムニチャネル・プローチを反映しておらず、スタッフも持て余していた、としている。本を中心にするが、カフェ・スペースもある。教育玩具、ゲーム、音楽、DVDは縮小。ギフトと文具もリフレッシュする。最初のストアは今夏にニュージャージー州に開業し、その他は候補地を選定中。「キッチン・ストア」と呼ばれるレストラン+書店は5店舗にまで拡大してきたが、現在は増設計画がなく、最適な食事との組合せを検討中。

AmazonBooksのプレッシャーもあり、オンラインと書店の連携は強く(そして初めて)意識されている。BN.comサイトを通じた「店舗からの発送サービス」を推進するほか、サイトで購入し、1時間以内に店で引き取れるようにするサービスを立上げる。最近の四半期ではBN.comサイトの売上も5%落ち込んでいるが、パーネロスCEOによれば、カタログが巨大なのに比べて検索機能が貧弱で、オンライン販促のためのツールもほとんど使われていないので改善の余地が大きいと強調している。

パーネロスCEOは、2016年11月にB&Nの経営チームに参加し、昨年4月にCEOに就任した。オフィスサプライ・チェーンの大手ステープルズ社で30年あまり、様々な部署、部門を経験し、北米本社の社長にまで昇った人物である。B&Nは、それまで4年あまりの間に1年続いた社長はおらず、ストア・マネジメントのベテランの就任は、むしろ「異色」とさえ言われた。漂流状態の会社の株主が呼んだのは、出版界とは近くないが、「客商売」の現場を知っていると期待してのことだ。

ここでも「インディ」!

BNStores2彼は昨年「アマゾンが実書店に進出したことは、それが参入する値打ちのあるよいビジネスであることを物語っている。地域の人が愛着を感じる独自の存在 (independents)。本を買い、学び、探求する、この場所を人々は愛している。」とも語っている。634の店舗数が多すぎるという考えには同意せず、それがあればこそB&Nは人々に愛されてきた、と述べた。要は顧客に満足してもらえるかどうかだということだ。「私はアマゾンの店に何度も足を運んでみた。じつにアマゾンらしい、しかし、豊かさや、地元に住んでこの仕事を知っている人の経験はない。」

彼は 'independent' という言葉を使った。600を超える大規模店舗を擁するチェーンのB&Nが「インディ」性を強調するのは、規模の大小を問わず、有店舗経営ビジネスの核心はいまや、一つの店舗ごとの独立(非依存)性にあると彼が確信しているということだろう。英国 Waterstones のドーント氏の発想と似ているが、20世紀の後半に規模の経済性・合理性を追求した大規模店が、独立性に活路を見出すほかなくなったところにコマースの影響を感じる。人々は「愛着を感じる」サイズと顔を求めている。 (鎌田、03/06/2018)

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