新聞電子版の月額購読料平均は10ドル

cash米国新聞協会(API)は2月14日、電子版購読料金の現状に関する年次レポートを発表した。平均は週2.31ドル、月10ドル、年額120ドルで、前年(2016)の3.11ドルから若干安くなっている。印刷版購読収入、広告収入が低下するなかで、業界は「最適価格モデル」に基づく価格改訂を行っているはずだが、実際にはモデル(むしろ現実)を拒否しているようだ。

市場価値はさらに安い

調査結果は、前回調査で推定された「最適価格」からかなり高い数値を示している。週$2.31は、レイノルズ・ジャーナリズム研究所の推定から83% ($1.05)高く、消費者意向調査の数値より221% ($1.59)高い。これは電子版収入への期待が高いことの反映とみられている。

  • 市場規模および購読者数と価格との間に統計的相関はないが、発行主体のオーナーに関係している。親会社は、価格決定のプロセスを標準化しているためである。
  • 本調査において購読担当者は、価格設定においては、市場テストと親会社からの指示が最も重要な考慮要件であると述べている。業界の慣行やライバル紙の価格がそれに続いている。
  • 割引試読は、無料試読よりも定期購読への移行率が高い(とくに条件がない限り)。前者は76%が以上というのが多く、最低26%。後者は25%以下。

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米国でも高所得層以下の収入は減少しており、活字情報への支出は減少している。ニュースメディアそのものへの信頼性と価値も低下している中で、購読料が低下するのも当然だ。それでもAPIの調査では、価格はモデルが示唆する最適価格をかなり下回る「非現実的な水準」を保っている。

ニューヨークタイムズをはじめとする新聞社は、「オンライン有料購読」の好調を伝えているが、ABCの公査のようなものがないので信憑性に乏しい。市場が望む価格に近いと見られる最適価格を採用しないのは、低い価格を嫌う社内的な事情が優先しているものと見られる。印刷メディアの電子版は、出版と同様に「紙を優先して影響の少ない水準」とされることが多い。

newspaper_Subs「コンシューマ・コンテンツ」市場での定額料金はHulu、Netflix、Spotifyの9ドルだが、それらの支出が定常的支出とされているのに対して、新聞購読料の優先度は低いということだろう。発行者にしてみれば1日1ドルでも安すぎと思う。しかし、市場とはそうしたものだ。購読料に依存した市場をつくるのが無理ならばビジネスモデルを造り変えるしかないだろう。

出版で、著者と出版社がショックを受ける価格は5ドルだそうだ。本1冊が「ランチ1食」から「コーヒー1杯」のランクに堕ちる感覚らしい。しかし、本はコーヒーではない。1杯500円のコーヒー1杯分の原料豆の生産者価格は1%あまりで、様々なプロセスを経て「1杯」のサービスとして提供される。自宅で淹れて呑めば10%以下。「最適価格」というものはコンテクスト(5W1H)によって異なり、変化する。メディアの消費/需要はとくに変動が激しい。前提が変わっているのに価格に固執するようでは10年ももたないだろう。 (鎌田、02/28/2018)

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