A-Book自主出版のネットワークが拡大

read_and_publish自主出版支援サービスのSmashwordsは、オーディオブック配信プラットフォームのFindawayと提携してA-Bookの制作支援を始める。AudibleのACXに対抗するFindaway Voicesを使うもので、同じような動きとしては Draft2Digital が昨年に契約している。非アマゾン系のA-Book環境がFindawayを中心に形成されてきた。

著者+ナレーターによる簡易オーディオ出版

Findawayの利用にあたっては、以下のことがめどとなる。

  • 料金は最終的な所要時間(分刻み)による
  • 1時間のコンテンツは約9,000語。2万6,000語の中編で3時間、1冊10万語の長編は11時間が目安。
  • ナレーターのフィーは1時間150ドル~400ドル(最大10人の候補の中から選択)
  • 版権は100%著者が保持、価格は自主設定、配信は自主決定
  • 制作場所は依頼者の指定による。

Smashwords_FindawayFindawayのサービスについては本誌でご紹介しているが、自主出版A-Bookで地盤を固めつつある。早く、安く、簡単にA-Bookを制作・販売することが出来、プロセスにコミットできるメリットは大きい。オーディオ・コンテンツ制作では、シンプルな朗読から、版権料100万ドル、音楽・エフェクト入り、豪華スター共演の大作まで、映像並みのコストがかかるものまで多くの選択肢がある。潜在的な市場規模は大きいと見られているが、業界のパイオニアであるAudibleが制作・配信のすべてで圧倒的な力を持っている現状で、売上規模の大きい出版社市場に進出するには制作能力が足りない。自主出版A-Bookはタイトルを増やし、制作能力を拡大する上で有効な手段といえる。

Audible/ACXと対抗なるか

audio_productionACXとの比較では、ACXが最初にプロデューサを選んで制作意図を伝え、あとは基本的に(最終承認まで)任せるスタイルなのに対して、FVは著者(依頼者)自身がプロデュースする方法だ。活字本でいえば編集者に編集・デザイン・制作管理を任せるようなもので、リスクは少ないが(活字本と同じくらいの)コストはかかる。E-Bookである程度売れてから作るにしても、個人には敷居が高い。FVはさらにA-Bookを出しやすくしている。ショート・コンテンツのサンプラーとして制作し、ブログなどで無償配布して反響を聞いてみるのにもよいと思われる。

Findawayが本格的なプラットフォームとしてAudibleと対抗していくためには、広い読書空間の構築・共有が鍵となる。つまり著者・作品・クリエイティブなど本に関する情報を共有する仮想空間ということである。この空間の大きさは、著者、読者、ナレーターや様々なクリエイターのコミュニケーションに懸っている。

アマゾンのプラットフォームが実証したことは、コンテンツとは原稿ではなく、出版とは発行ではなく、「読書を通じてフィードバックされることによって社会的に共有され、次の出版=読書につなげる、ネットワークとノードからなるコミュニケーション空間」に反映されることよって機能する、ということだと筆者は考えている。旧出版はその空間をコンパクトに管理したがそれはインターネットでは意味を失った。たんなるストアがいくつあってもアマゾンには対抗できない。Findawayは様々なプラットフォームと連携しているが、共通の読書空間に広げることによって、拡大していく可能性がある。例えば、E-Bookプラットフォーム (Koboなど) やソーシャル系 (Wattpad)、図書館系 (OverDrive)などだ。 (鎌田、03/22/2018)

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