アマゾン・プライム会員が1億人突破

アマゾンのジェフ・ベゾスCEOは、株主への手紙の中で全世界のプライム会員が1億人に達したことを明らかにした。これは会員数に関する最初の公式発表となる。2017年の出荷は50億品目、例によって米国でも米国外でも新規会員は前年を上回ったとされる。会員の平均消費金額は非会員の2倍弱と推定されおり、デジタルメディアを有力な手段とする戦略はさらに積極化するだろう。

慣性重力で動く「フライホイール・モデル」

amazonprime_280x150プライムを中心としたビジネスモデルについては、拙著『Kindle以後10年』で書いたことだが、コンテンツでもITでもデジタルを駆使しているのが特徴だ。アマゾンのモデルは「フライホイール(はずみ車)」と呼ばれるが、軽量で調整可能、機動的に使える点が消費者マーケティングに向いている。

その昔、本の安値販売で顧客を獲得すると言われたり、Kindleを原価で販売していると言われたり、とかく価格面での「攻撃的姿勢」が指摘されてきたが、利益を犠牲にすれば成長力を失い、持続性は持てないので、顧客体験としてよいものにはならない。コンテンツがよいのは、コストを最小に、顧客価値を最大にしやすいことだ。これは、(1) 再生産コスト、流通コストがほぼゼロに近い、(2) 価格、仕様を(顧客に対して)個別化することで売上機会を最大化すできる、といったデジタルコンテンツの性質をフルに使い、顧客価値を高められるためだ。

Amazon_flywheelアマゾンのビジネスモデルは、Web/一般消費財から始めて、2007年にKindleで初めてモバイル/コンテンツに踏み出した。コンテンツの自社開発も、書籍、音楽、映像に拡大しているが、これらはプライムの会員サービスにも拡大にも有効なツールとなる。デジタルコンテンツは無限に提供を拡大でき、しかもコンテンツビジネスはオーディエンスと収益を拡大できる。もし会員に対して提供できるものが「送料無料」だけなら「配送会員」というだけで成立しない。デジタル商品の性質については、2000年以前には既知のものとなっていたが、それをすぐに理解して使ったのはPCアプリケーション業界くらいで、出版は最も遠い国の出来事と考えていた。

プライムはコンテンツビジネス単独では得られなかった規模を実現し、コマース単独では提供しきれない満足を提供する。一見性質を異にするコンテンツとコマースが完全に補完的に作用することは、ライバルを意気阻喪させるのに十分なものだろう。アマゾンモデルを超えるモデルは当分考えられず、コンテンツ・ビジネスは、フライホイールを前提として行動するしかないだろう。 (鎌田、04/19/2018)

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