Kindleの10大発明・各章要旨

breakthrough2-280x150本誌の出版プロジェクトとなる『Kindle以後10年 (I) Kindleの十大発明』は予告通り近日発売となりますが、各章の要旨が確定しましたので掲載いたします。「十大発明」をテーマごとに7章の中に構成し、ストーリーとして分かりやすくしました。ご期待ください。

本書の構成

Kindle版

序 「Kindle以後10年」
まえがき Book I:Kindleの十大発明
第1章 出版のデジタル的脱構築
第2章 ガジェットにあらず
第3章 「メディアとしてのストア」と「読書空間」
第4章 顧客志向の書店:パーソナライゼーションとIT ─ Amazon.comとAmazon Books
第5章 著者の自立と出版ビジネス:KDPとアマゾン出版
第6章 「共同性」を志向する出版市場モデル:Kindle Unlimited
第7章 メディアの誕生―音から声へ:AudibleとEcho

第1章 Kindleは、<1.デバイス+2.サービス(クラウド)+3.コンテンツ>が一体として機能する、世界初のデジタルで完結した出版エコシステムとして構想された。それは活字出版の歴史をデジタルで継承するとともに、Webテクノロジーを使って「本」のみならず「出版」を拡張するものだ。それは本と出版を再定義し、ゼロから構築していくものだった。本/出版とは何か、デジタルとは何か、といった長年のテーマに、アマゾンは答を模索し、創造し、それによって未来の出版を切り拓いている。

第2章 2007年は、スティーブ・ジョブズがiPhoneを出した「ガジェットの年」だった。しかし、アマゾンはKindleを読書ガジェットとしなかった。その理由は、Kindleの役割が「読書体験」の提供であり、そこではデバイスとアプリが等価としてあったことだ。iPhone、iPadというメディアの領域に達した「神器」を前にしてもジェフ・ベゾスが動じなかった理由は、本を起点とし、顧客体験の最大化を目ざしていた創業以来のビジネスモデルとクラウドシステムへの確信にあった。

第3章 300年もの間に実質的に変化がなかった出版エコシステムは、デジタルとWebとともに変化を始めた。本に関するコミュニケーションは非対称的なWebで、読者中心に行われるようになる。Kindleはストアの読者レビューをメディアとして構築し「商品としての本」を議論する場を成立させたが、書籍には社会性というより高次の価値があり、それをめぐって「読書空間」が成立する。アマゾンはソーシャル・リーディングの象徴的存在 Good Reads社を買収し、傘下に加えることで課題を解決した。

第4章 21世紀的企業として誕生したアマソンの創立と成長には本が深くかかわっており、Kindleはアマゾンをモバイル・パラダイム ("Amazon 2.0") へ導く役割を負っていた。「顧客個人」にサービスのUXを最適化するパーソナライゼーションという、ビジネスとITを融合したコンセプトで表現される。それが可能としたものが「街の書店」のAmazonBooksで、「オンラインからオフライン (F2F)へ」を可能とするほどモバイルUXが成熟したことを示した。

第5章 印刷本時代に形成された出版エコシステムは、デジタルの可能性を生かすことは出来ない。アマゾンは在来出版社との対立を回避しながら、KDPという、商業出版社を必要としない史上初の「著者出版環境」を構築し、徐々に拡大させていった。そしてそれとは別に、新しい出版社としてのビジネスモデルを再構築したのが Amazon Publishing である。これは崩壊しつつある雑誌業界から多くを継承しつつ、「最小単位の出版で読書を掴む」ビジネスモデルを機能させることに成功した。

第6章 先進国社会の構造変化は、20世紀の出版を支えてきた読者層の貧困化という問題を産み出している。読者の体験を持続的な成長の糧としているアマゾンの解決策は、Kindle Unlimitedという定額制(共同経済モデル)の導入だった。これは通常の販売市場との連動で「フライホイール」としての役割を発揮するもので、読書空間の定常化という役割を担うものだ。非対称性の時代に、プラットフォームを通じて「オーディエンスとしての読者」を著者に委ねる実験はこれまで順調に拡大している。

第7章 アマゾンは、Echo/Alexaで音声インタフェースUXの実用化に成功したが、そこには音声言語表現のコンテンツとしての「オーディオブック」が大きく関わっている。人間とコンピュータとの関わりに転機をもたらす音声言語の役割の増大は、音声のルネッサンスをもたらす。「言語ビジネス」である出版にとって、メディアとしての音声は、主導的地位を復活させ、糸口が見つからなかった「拡張E-Book」のコンテンツ化をリードするものと期待される。

Kindle_tech_and_innovations

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