「Z世代」は本を読むか

Girl on tablet 2国際的なオンライン市場調査会社YouGovは、米国の8-17歳人口(ミレニアル世代)を対象に日常的なタブレットの利用動向を調査した結果を発表した。65%が自分のデバイスを保有して読書にも使い、動画や音楽と並んでE-Bookの利用も増えている。コンピュータが読書と読書能力の向上に貢献すれば、AIによる脅威がそれだけ減ることになる。

タブレットは普及、問題は使い方

YouGovYouGovは、英国に本社を置く市場調査会社だが、オンラインながら人口統計学的な補正手法で評価を得ている。米国で「Z世代」と呼ばれる8-17歳を対象にした今回の調査では、8-11歳、12-14歳、15-17歳の3つの(以下便宜的に低中高とする)年齢階層に分けて傾向を見ている。日常的使用の比率が最も多いのは「低」年齢層 (74%)で、「中」年齢層 (67%)、「高」年齢層 (52%)で、年齢が低いほど高い。日常的に使用する層では機器保有率が8割あまりで、「高」年齢層では90%。4分の1は両親や家族と共用。

Tablet Chart 1日常的に使うことの中に「読書」が38%もいることに驚かされる(37、44、31%)。教育アプリの使用(37、26、20%)と併せて考えると、学校教育でのタブレット利用と関係があるものと考えられる。読書では、47%がタブレットよりは印刷本が好きと答えているものの、「タブレットが好き」という子供も21%いる。「どちらでも同じ」という”常識派”も27%。デバイスでは、iPad、Kindle Fireと並んで LeapFrog Epic というのがあるが、これは子供用タブレット。

Screen Shot 2018-04-16 at 4.08.33 PMタブレット上での「読書行動」は、一般的な読書行動の傾向を知るには不十分だが、タブレットの普及率から考えれば意味はある。Pew Centerによると、米国の読書人口は4分の3、日本は半分を切ると言われる。「先進国」としてはかなり厳しいところだろう。印刷物だけでここまで低下した読書量を1980年代の水準に戻すにはモバイルに頼るしかないだろう。米国で若い層にデジタル読書が普及しているのは正常だ。

コンピュータに「読書」を任せれば仕事を失う

8-17歳は読書教育の上では重要な年齢で、あらゆる方法で読書の機会を提供する(読まない理由を減らす)よう努力することが教育・出版関係者の義務である。というのは、コンピュータの言語能力が急速に向上したことで、言語は平均的人間にしか期待できない能力ではなくなり、それによって人間の「職と市場」が脅かされているからだ。

読書の水準の向上はその昔の出版人たちが心を砕いてきたことだった。というのは、農業が土地の生産力に依存するように、出版は社会の知的生産力に依存し、社会の言語能力の衰退を放置すれば出版にとっての耕地は縮小するからだ。少なくとも「無読率」が50%を超えると出版は平均的日本人の主要な知識情報メディアではなくなり、読解力を要するコミュニケーションは使えなくなる。活字離れ(文字離れ)という言葉は、出版人が軽々しく口にできることではない。 (鎌田、04/26/2018)

参考記事

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