衰退のまま放置される「在来出版」

aap-logo-280x150在来出版ビジネスの衰退が続いている。米国出版協会(AAP)が5月9日に発表した約1,200社の数字  (StatShot) によると、2017年の成長は前年比5億ドル(0.4%)増の147億ドル。マイナス10%に近づいた日本ほどではないにしても、成長が求められている産業としては実質マイナスだろう。例外はまたもA-Book (3億4,300万ドル)で成長率は29.5%。

オンラインが書店を圧倒

AAPの数字は、出版社の卸出荷金額で小売販売額ではないので、金額よりも成長率に注目する必要があるが、なぜA-Bookが高成長を続けられるかといえば、それはAudible(アマゾン)がオンライン販売しているからで、なぜ印刷本がマイナス成長かと言えば、書店が衰退しているからだ(それはアマゾンによって補われている)。B&Nは瀕死の状態で、リストラが拡大している。独立系書店もサバイバルで手一杯だ。在来の流通が半分を切っている中でシェアを拡大できるのはアマゾンしかいない。E-Bookの高価格が印刷本の販売を維持することになっても、書店の売上が回復しないならば、それは単純に(A-Book以外の)デジタル市場を放棄することになる。

E-Bookは4.7%のダウンで11億ドル。全体に占めるシェアは、E-Bookが15%、A-Bookが4.5%で合計20%あまり。出版社はデジタルのシェアを抑えることにのみ努力を傾けているようだ。単純にE-Bookが5%の縮小、A-Bookが30%の拡大を続けていけば、4年で音声と文字のバランスが逆転する。出版社にとってそれは「より少ない読者」という以外の意味があるとは思えない。奇妙なことに、出版界がこうした現状に対して口を閉ざすようになっていることで、数年前のような議論は聞かれない。つまり、流通については「なるようになるしかない」という日本の業界のような状態に陥っているということなのだろう。

こうも無策ということは意図的ではないか、つまり大出版社が事実上、このビジネスでのリーダーシップを放棄したことを意味するのではないか。これがいま筆者が考えていることだ。大出版社は基本的に欧州メディア資本だ。米国市場の現状維持が困難ならば、デジタルへの投資などはしない(つまり他社の買収以外のことはやらない)と思う。これは最大の市場をアマゾンに任せることで、出版にとってよいことではないだろう。 (鎌田、05/1o/2018)

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