E-Readerはなぜ「進化」が遅いのか

E-Ink-280x150ブラウザのEPUB対応(+その逆)もかなり進化し、他方で専用デバイスが停滞しているので、それが本当に(誰に)必要なのかが分からなくなっている。E-Readerデバイスの市場の性格、あるいは「E-Reader不要論」について、マイケル・コズロウスキ氏が最近 (Good eReader, 05/27)有用な記事を書いているので紹介してみたい。

新しい「読書体験」に無気力になる一極市場

KIndle2007-280x150「E-Readerはますます限られた層のためのデバイスになっている」という見方がある。そもそも本を読む人間はそう多くない。2016年に米国人の4分の1が「非読書人口」に属し、後者には「一冊の本の一部」を読んだ人が含まれる。平均的な読者は、年に4~12冊を読んでいるが、その数は1980年以降減少傾向にある (Marshall Honorof、02/21/2018)。Pew Research Centerの調査によれば、米国の読書人口の中でE-Readerの保有者は、2015年で19%。より裕福な層に限れば27%と高くなる。スマートフォンの保有率は68%、後者では87%なので、専用機読者はさらに「一部」ということになる。

2010年にアマゾンは1,010万台のKindleを販売して世界市場の63%と推定された。2011年は2,320万台を販売したが、2012年で大幅に減速し、以後2016年の710万台にまで落ちている。B&Nは2009年にE-Readerを出し、10億ドル近くを販売したものの、6年で13億ドルの損失を出し、最近では1.5億ドルにまで売上を減少させた。印刷物への「支持」を隠そうとしない新聞や雑誌は、これを代表例として、E-Readerの出荷は(ガジェットとして)問題にならないレベルにまで落ちていると断じている。

しかし、10年あまりのアナリストであるコズロウスキ氏は、こうした見方を否定する。市場が停滞してきたのは、E-ReaderでのUXの価値が有効になるカラー電子ペーパーなど新世代の技術が出にくい市場構造が続いてきたためで、読者が紙への愛着を捨てないためではない、という。筆者もこれに同意する。例えばアマゾンとしてみれば、現在のコンテンツ(白黒が圧倒的で、レイアウトも単純)では、ユーザーがE-Readerにカネをかけないほうがよく、カラー/大型E-Inkのユーザー価値がタブレットを上回る時期に次世代E-Readerを出せばよい、急ぐ必要はないだろうと考える。カラーが高く売れる期間を長引かせたいE-Inkも同じだ。E-Book/E-Reader市場を退屈なものにしているのは、出版とガジェットの業界を覆う無気力だと思う。 (鎌田、05/31/2018)

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