iBooksが引退、Apple Booksに交替

Apple_Bアップルは6月4日、WWDCにおいて次期 E-Bookアプリに関して発表を行った。iOS 12のリリースと同時にブランドをApple Booksに改名、ライブラリ・ヴューを改訂するとともにオーディオブック・セクションを新設としている。2010年以来の「クラシック」な iBooksに対して「クール」な印象だが、読みかけの本/ページをすぐに表示できるなど操作性も改善された。

「Kindle返し」返しはあるか

ipad ibooks初代のiBooksは、アナログとデジタルを組替える「スキューモーフィズム」というデザイン手法を使ってトレンドをつくった。無機的で透明度の高いデジタルを、温かみのあるアナログ調に置換えたことでインパクトを残したが、爆発的に増加するiOSアプリの中では本だけの世界を秩序化するのが難しく、シンプルな「フラットデザイン」に移行した。しかし、これも実用的に過ぎてアップル・デザインの本流である「モノトーン・クール」との不調和も気になっていた。世界のトップレベルのデザイナーにとっても、ブックストアはつくづく難しい。

おもしろいのは、アマゾンが小規模実書店の AmazonBooksの店舗設計にスキューモーフィズムを導入し、iBooksをABooks化して、この「ハイブリッド書店」を軌道に載せたことだろう。Kindleもメディアにおける「脱構築」の成功例であると思う。このアプローチが必要なのは、体験の蓄積である様式の尊重、機能的更新の持続、エコシステムのマイグレーションという矛盾する課題を解決していくことだ。

インタフェース・デザインにおける脱構築

la-fi-amazon-books-20151103建築における「脱構築建築」 (Deconstructivism)や、料理における「分子美食学」、サッカーにおける「ポジショナルプレー」に通じるものがあると思う。筆者は、最近の「脱構築」の普及を、(1)在来のモチーフ・技術を、(2)コンテクストを置換えて合成する、(3)その際にデジタルで多次元的にシミュレーションし、実現性と効果を短期間で検証できたことにあると見ている。初期の脱構築は、アントニオ・ガウディのような大天才を必要としたが、現代はだいぶ敷居が低くなったと思う。

Apple Booksのインタフェースは期待が持てるが、それだけでは「伝統のアップル・デザイン」型の反復で終わる。クールな機能でホットな体験をサポートする新時代の読書アプリを期待したい。 (鎌田、06/07/2018)

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