米国在来出版の停滞を映すデータ

no-growth米国出版社協会 (AAP)は7月21日、昨年の卸売上データ(1200社分)を収録した StatShot Annual Report (SS-A)を発表し、数量ベースで27.2億冊、金額も横ばいの262億3000万ドルと推定した。商業出版物は159億5000万ドルだが、過去5年間の変化が-3%で、毎年膠着したような推移を見せるのは、非公開の「モデル」による推定に依存した算出方法によるものだろう。

不自然な「ゼロ成長」

aap-logo-280x150カテゴリーは、主に商業出版(フィクション、ノン・フィクション、信仰)、高等教育、幼児教育、専門出版、大学出版の5部門から成る。あえて変化を探すとすれば、分野別に求めるしかない。そこで唯一の注目点は、大人向けノン・フィクションが2016-17年で5.4%増、2013年からの5年間で28.4%増の61.8億ドルと顕著な増加を示していることだろう。フィクションは1.2%減の43.8億ドル、5年間では2015年を除いて減少を続けている。ノン・フィクション増加は今後も続くと思われる。

フォーマットではE-Bookが5.3%減少して20.5億ドルとなった。ピークだった2013年からの5年間で36.7%になるが、本誌で何度も書いているように、これは2013-5年にかけての大幅値上げによるもので、意図的に印刷本の売上回復を図ったことの結果である。5年間でAAP出版社(の本)はE-Book市場での存在を薄めたが、著者がインディーズに流れたことで市場の構造が変わり、他方で印刷本のオンラインへの流れは止まらず、全体としてはオンライン(アマゾン)に大きく傾いた。市場データ・サービスの分裂は、在来出版社の失敗を隠すことにつながっている。結局、AAP各社の出版ビジネスでも、成長分野はオーディオブック (A-Book)で、昨年も28.8%増加して8.2億ドルに達した。2018年での10億ドル台乗せは確実だろう。

AA-SSA_2017

SS-Aでは初めて、2017年の書店とオンラインのチャネル別販売比率を載せたが、76億ドルと75億ドルでほぼ並んだ。後者では43.2%が印刷本、27%がE-Book、10.5%がA-Book、16.3%がドキュメント、残りはCDオーディオなどとなっている。AAPはオンライン・チャネルの一部(1200社のオンライン売上分)しかフォローしていないが、それでも「最も保守的な出版社でさえオンラインに売上の半分を依存している」ことに注目すべきだろう。 (鎌田、07/24/2018)

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