「マンガ図書館」が活字本の活用を実験 (1):絶版本

unavailable2赤松健氏のJコミックテラス(メディアドゥ)が、実業之日本社の参加を得て「マンガ図書館Z」を絶版本に応用する実証実験を開始したと発表した。死蔵されている絶版本の電子化は、ビジネスモデルとの結びつきが得られず、ほとんど進んでいないが、海賊版マンガ問題で動き出すきっかけが与えられるかもしれない。瓢箪から駒。

「マンガ」プラットフォームと絶版本ビジネス!?

JCマンガ家の赤松健氏が2011年に立上げた「マンガ図書館Z」の運営企業であるJコミックテラスは、今年7月に「マンガ図書館Z」のパートナーがGYAOからメディアドゥに切替わり、総合的な出版配信サービスの傘下となった。今回の発表は、「海賊版サイト対抗実証実験」が、マンガ対策だけでなく、一般書籍にも広げる意思を示したものだ。

発表によれば、実業之日本社が版権に関与した作家4358人、全8871冊の書籍(マンガ以外も含む)が対象で、過去に発行した絶版作品を配信して収益化を図るとしている。サービスは、Jコミックテラスが運営する広告モデル(無償配信)と「マンガ図書館Z」のプラットフォームを活用するが、実験では、広告収入を著者8割、出版社に1割、提供者が1割の比率で配分される(マンガ図書館Zは著者100%)。実験期間は1年だが、実験というには長すぎるので、問題がなければ(たぶん名前を変えて)本番ということだろう。

デジタル時代の絶版は出版社の不作為

nope絶版本とは、版の複製能力を価値の基本とした金属活字印刷時代の用語で、版がデジタル化された時点で実質的に(再刊保留状態という以上の)意味を失い、さらにE-Bookの登場で、非活用という以上の意味を失った。印刷本として再刊しても、売れる見通しがなければ手を付けられず、E-Bookとする動機が弱く、意欲がわかない、ということから基本的に放置されてきた。

「本が売れない」のは出版社の悩みだが、読みたい本を探して読む人からすれば、探した本が「買えない」状態を意味する「絶版」は、本への関心を失う最大の理由の一つだ。「入手問題」の解決を約束し、オンライン書店で成功したアマゾンが10年前、次に「絶版問題」の解決を約束してKindleをスタートしたことで、米国ではOpen Road Integrated Media (OR/IM)のような復刊ビジネスの企業が生まれたのに対して、日本の復刊ドットコムは、事業として飛躍を経験していない。その違いはブック・マーケティングへのリテラシーにある、と筆者は考えている。 (鎌田、08/02/2018)

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