Kindle インディーズ・マンガは上々のスタート

amazon jpアマゾン・ジャパンは8月10日、「Kindle インディーズマンガ」の開始1ヵ月時点でのダウンロードが数十万回を達成し、既読ページ数が累計100 万ページ以上になったと発表した。この好評を受けて、無料マンガ基金の8月度の分配金を、前月度の1.5 倍の300 万円以上にすることを決定した。また「上位20名」としていた分配金の支給対象を増やす、としている。

先を見たアマゾンのアプローチ

crowdsource-280x150他社のプログラムと比較・分析しなければ評価はできないが、アマゾンの意図は達成されつつあるものとみられる。新進マンガ家に活躍(収入)の機会を提供する、読者に無料で出会いの機会を提供するというのはもちろんだが、それを通じて今後1世代のオーディエンスを形成していくというコンテンツ・マーケティングの方法論(プロトタイプ)とツールがあるはずだ。なぜならば、この会社は結果より理由を重視する会社で、理由が得られないビジネスはやらないことで知られるからだ。

出版ビジネスで、次の「ヒット」とそれを生む「スター」の発見と確保が何よりも重視されることは言うまでもない。版が生む価値で評価される伝統的な出版では、デビューの場を提供できる出版社が、多くの候補の中から選択するが、機会は多くない上に、ストーリー・表現・独創性・完成度などでプロが選ばれた作品は、必ずしも結果に結びつかない。ファンになるのは一般読者だからということもあるし、ファンとの間に生まれるケミストリなどというものは、結果からしか分からない。だとするなら結果(機会)を増やさないとベストセラーは生まれにくいだろう。

Kindle Unlimitedの失敗から学ぶ?

出版社の伝統的アプローチは、一発勝負でも多くの才能が集まる出版社のブランドとゲートキーパーのセンスに頼るものだが、紙を使わないデジタル出版アプローチでは、データとロジック(モデル)を改良していくことで持続的に機会を提供し、作家とファンを同時に発見していくことで、クリエイターの消耗を減らしながら、育成していくものだ。その成果は1年余りで評価されるものだろう。アマゾンは一歩を踏み出した。

Kindle Unlimitedでマンガ市場の特異性を知ったアマゾンだが、一線のマンガ・コンテンツのパワーに懲りたどころか、むしろリスクの少ない新人市場開拓を通じて十分なデータとモデルの洗練を達成し、次世代のスターとファン、キャラクター、ストーリーなどのプロファイルを獲得していくだろう。 (鎌田、08/16/2018)

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