メドピアがPubMed論文の日本語共有サービス

医療情報サイトを運営するMedPeer(メドピア)は7月30日、医師10万人が参加する同社サイトにおいて、PubMed論文の日本語による検索・共有サービスを提供する「JOURNAL」をリリースしたと発表した。多忙な日本人医師のアクセスには困難が多い国際的な大規模専門データベースの利用環境として注目される。

英語専門情報の利用環境

主な特徴は以下の通り。

  • PubMed論文を日本語で検索・閲覧」「お気に入りの論文のブックマーク」といった機能を備えるほか、他の医師たちがチェックしている論文や読んだ論文のコメントについて、医師同士で共有できるようになっている。
  • MedPeerが認定する各領域の実績豊富な専門医「エキスパートドクター」の解説付き論文リストを、公式リストとして表示。「生活習慣病関連論文リスト」「脳神経外科領域の論文リスト」など、テーマ別に選定されたリストを用意する。
  • これによりMedPeerの医師会員は、海外で公開されている医学論文に対し、日本語で検索から要旨確認まで対応できるようになった。

375px-US-NLM-PubMed-Logo.svg米国公衆衛生研究所NIHのPubMedは1997年に公開され、30年間3000万件近くの記事へのリンクを提供する無料サービスで、一部コンテンツは全文、一部は無料で提供されている。昨年の数字で52%が全文(うち27%が無償)となっている。生命科学や生物医学など分野横断的で、グローバル、透明化、オープンアクセスが進む医療情報の世界でインフラといえる存在だ。

「読む」ことへのプレッシャーを与えるEBM

EBMed研究者だけではなく、医療現場でもPubMedが重視されているのは、科学的根拠に基づく医療 (EBM:Evidence-based Medicine)が国際的に推進されている背景がある。医師としての注意義務 (duty of care)、とくに予見・回避義務とも絡んでくるが、少なくとも能力評価には影響する。プロフェッショナルなら「読んでおくべき」「評価すべき」論文」が増えている英議論文が増えていることは、研究開発と似ている。いわば出版におけるオーディエンスの形成が進む淘汰圧が生じていることは、歓迎すべきことだ。医師のためのソーシャルサイトMedPeerは、「集合知による医療の再発明」を目指しており、「JOURNAL」は上述した世界的潮流への対応という意味でも大きな一歩となろう。

医学に限らず、英語の専門情報論文を共有するには、カテゴライズ、用語辞典、ランキング、レビュー・システムなどのインフラが必要で、専門出版社の協力が進むことが期待される。しかし、歴史が長い分野が多く、出版社よりも「ソーシャル」のほうがやりやすいのかもしれない。 (鎌田、08/03/2018)

Print Friendly, PDF & Email
Send to Kindle
Pocket

Share