ウォルマートeBookstoreの挑戦(1): 本

walmart-koboウォルマートが8月21日、Walmart’s eBookstoreを開設した。米国でのKoboの存在が薄く、ウォルマートと本との結びつきも強くないので、注目は高くない。しかし、ウォルマートがコマースでこの数年間で築いてきたことから考えて、これは書籍市場にとっての転機となるかもしれないと筆者は考えている。この会社はイノベーションの意思と体制を持っているはずだ。


顧客重視と体験アルゴリズムのアマゾン・モデル

walmart2Walmart ebooksは、 Android と iOSアプリで提供され、E-BookとA-Bookの両方をサポートする。インストール時に10ドルのクレジットが利用できる。同じメールアドレスで登録されたKoboとウォルマートのアカウントがあれば、Android appは使用可。Koboの下にWalmartのサブドメインを置いて連携させるシステムはまだ完全に稼働していないようでバグ情報が伝えられている。

eBookstoreはKoboがサポートし、専用デバイスは99ドルのKobo Auraでスタートする。E-Book/A-Bookのタイトルは、店舗ではギフト・カードで購入できる。この方法は過去にアマゾンも含めて何度か試行されているが成功したとはみられていない。しかし、アマゾンがウォルマートに人材を求めたのと同様、ウォルマートもアマゾン経験者を採用している。おそらく、ギフトカードは「カモフラージュ」で、いずれ印刷本と並んで置かれるだろう。アマゾンを悩ませる複雑な価格モデルとともに。

kobo-walmart-1重要なことは、ウォルマートのコマース・チームが、顧客重視というビジネスモデルを動かすアルゴリズムとUI/UXの開発において、アマゾンに近い水準にあると考えられるからだ。筆者が見るところ、本の最大顧客を持ち、コマース全体を動かすビジネスモデルは現代最強で、その優位を覆すのは不可能に近い。つまり、本を独自の流通に任せている限りアマゾンの優位は揺るがないからだ。ウォルマートは紙とコンテンツの両方に進出するだろう。そして雑誌や映像系のメディアに進出することも間違いない。

21世紀の流通/メディア再編の幕開けである。もはや「リアルとデジタル」は区別できない。顧客に区別できない以上、小売に区別できるわけはない。楽天はKoboで思わぬ大金を手にするかもしれない。 (鎌田、08/23/2018)

→続き「ウォルマートeBookstoreの挑戦(2): 正攻法」 (♥=会員記事)

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