電子ペーパーと環境発電による新市場

E-Ink-280x150E-Inkが、次世代電子ペーパー商品のための電池フリーの表示体技術を富士通と共同開発していることが明らかになった (Good eReader)。電子ペーパーが電池フリーになれば、「モバイル化」に続くイノベーションにつながるだろう。これにより電子ペーパーの用途拡大、「印刷物」の縮小となる可能性は高い。

電池フリーとIoTとメディア

富士通の低消費電力型不揮発性メモリ(FRAM)を使ったものは19-20年には商品として登場しそうだ。富士通は10年以上前から電子ペーパー技術の開発を継続しており、カラーE-Readerのプロトタイプをデモしたことがある。またRFIDなどに使うFRAMを製造している。E-Ink社 (E Ink Holdings Inc.)は、電子ペーパーの実用製品をほぼ独占的に市場に供給してきたが、最近はデジタル・サイネージ(電子看板)、ウェアラブル・デバイスなどで市場を開拓している。

同社は新分野として、小売店の値札管理のための電子ペーパー・ソリューションの導入に力を入れている。コンビニ商品の値札(表示ボード)の貼替えを遠隔(UHF波)で一括処理するといったものだ。これには凸版印刷も協力している。表示サイズは値札程度だが、これがE-Readerを含む様々なサイズの「ペーパー」に拡大する方向も見えてくるだろう。

電子ペーパー・メディアの進化は続く

これまで、電子ペーパーは、主として高精細化、大型化、カラー化、低消費電力化という軸で発展してきた。基本的にはアナログ(素材・物性)なので、進化の速度は遅いが、ブレークスルーがあれば大きな変化をもたらす。気の短い人はとうに関心を失ったが、その本質は低消費電力で、究極が電池フリー。紙の自在性の実現だ。これはメモリなどの低消費電力化とともに、環境中から実用レベルの電力を得る振動などの環境発電(エナジー・ハーベスト)技術で可能となる。IoTはこれを前提として成立したと思われる。例えば、振動があればどこでも使え、1mWで半永久的に使える素子が開発されている。

電子ペーパーが環境発電+IoTと結びついて考えられるメディア・ソリューションは、かなり幅広い。コンテンツとサービスはよりパーソナルで多様になり、デバイスは複合的なものとなるだろう(例えば複数の画面を持ったデバイスなど)。E-Readerは「終わった」とする議論が日本でもあるようだが、これはもともとガジェットではなかったし、「電書元年」を信じた関係者で「始まった」としても、ブームが消えて「終わる」のは幻想にすぎない。紙より高い機能のメディアに対するニーズがある限り、技術は進化を続け、市場は生まれる。 (鎌田、09/12/2018)

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