出版技術の黄金時代:(1)3つのPの最適化

golden_age米国のPublishers Weekly (PW)にデジタル関連の記事が載ることは多くないが、学術出版の重鎮ウィリアム・カスドーフ氏が「出版技術の黄金時代」という興味深い寄稿を載せた (09/07)。過去40年以上、出版技術と取組んできた人は少なくないが、出版界にあって現在を「黄金時代」と言い切れる人は人は多くないと思う。

ITで今まで出来なかった仕事ができる

56813-v2-197xカスドーフ氏は学術出版協会(SSP)の副会長として技術面を担当してきたが、金属活字を扱った経験を持ち、写植から電算組版、ワープロ、DTPなどのツールやPDF、SGML、HTML、初期E-ReaderからWeb出版に至る「バベルの塔」を乗り越えてきた。そうした自信から、出版技術において、現在はまさに黄金時代を迎える直前だと言うのだ。理由はこうだ。

「なぜなら、かつてないほどのレベルで出版を達成できるからだ。ワークフローは効率的で商品の品質もよく、ユーザー体験(UX)も優れ、一つのワークフローから、市場に最適で顧客のニーズに合わせたコンテンツを提供することが出来る。」

筆者は、21世紀の出版にもとめられるものは、プロセス、プロダクト、プロジェクト3つのPで表せると考えているが、カスドーフ氏は、3Pを融合させる技術的条件が整ったと考えている。それが自己満足でないのは、出版がユーザーのニーズに基づいて行われる「プロジェクト」であり、UX(顧客満足度)は計測・評価されることによって持続的に改善する契機を含んでいるからだ。学術出版は最もニーズの複雑な出版の一つであり、商業的成功で評価される商業出版とは性格が違う。彼が「品質」という時には、プロジェクトによって異なる複数の品質要求が意識されている。

矛盾した要求(トレードオフ)を最終目的に照らして調整するのは、プロジェクトとしての出版の最大の難関であるが、彼が自信を持てるのは、出版のプロセスとプロダクトをプロジェクト管理として統合できるデジタルな環境がほぼ完成したということだろうと思われる。

カスドーフ氏は他の3人のエキスパート(Thad McIlroy、Bill Rosenblatt、Bill Trippe)とともに、どうすれば黄金時代から結果を得ることができるかを論じる。次回は「メタデータ」。 (鎌田、09/20/2018)

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