B&Nの最後(?)

B&N2B&Nは10月3日、「切迫した戦略代替案」を正式に検討する取締役会を開催すると発表した。同社に対する単数ないし複数のグループによる株買占めの動きがあったためとしている。また短期株式譲渡制度の採用も決めた。「企業防衛措置」の発動が実際の「脅威」に対抗するためなのか、それともたんなる時間稼ぎの「煙幕」なのかはまだ不明だ。

実質的にはすでに死んでいる

B&N_logo2確実なことは、B&Nが買い手を探しており、それも(前CEO解任の一件で明らかになったように)かなり切迫していたということだ。11月には米国のブックビジネスで最も重要なシーズンが始まる。昨年は10%以上の売上減で、その後の「現場崩壊」が始まったとされるが、今年はその比ではない可能性がある。現場が混乱状態で営業に支障が出るということだ。

持株の19%を保有する創業者のレン・リッジオ氏も買収に名乗りを上げており、おそらくパートナーを得て過半数を支配すること(非上場化)を意図しているものとみられる。投資グループのショッテンフェルドは、6.9%を有するがリッジオ氏を「不要」としていた。「防衛措置」はリッジオ氏に「敵対」する買収を阻止するための仕掛けと考えれられる。

現実的に考えて、600店を数える「世界最大のブック・チェーン」を扱いきれる企業はないし、不動産はすでにかなり整理したと言われているから、ブランドと事業の現在/将来価値ということになる。数億ドルもつきにくいだろう。四半期業績では二桁減を続けているからだ。

誰がB&Nを「殺した」:環境の変化と人間の傲慢

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B&Nは、危機を経験してから20年あまり、つまりWebの普及と重なる。メディアが「アマゾンに殺された」と書きたいのは止められないが、ほぼ四半世紀の間、テクノロジーの変化に有効に対応できなかった大企業が「殺された」というのであれば、市場経済はイノベーションとは無関係であることを実証していることになるだろう(実際そうなのだが)。企業は殺されるものではなく、環境によっては衰弱するという当たり前のことだ。しかし、規模が大きいほど「不滅」の幻想が頭をもたげてくる。アマゾンはそうしたことを計算して、一人ひとりの消費者を顧客化するビジネスモデルを構築した。

B&Nがオンラインストアを開業したのは20年以上前のことだが、その日の作業を終えたアマゾンのスタッフをB&Nの副社長がディナーに招待し、「ご苦労様。もう君たちはオワったよ。」と告げたというエピソードがある。もし、B&Nがテクノロジーとビジネスを理解していたら、そうなる可能性はあっただろう。当時のアマゾンは本の仕入れや配送のためのキャッシュも不足していたからだ。しかしB&Nのオンラインストアはうまくいかなかった。2005年までの間に、B&Nが書店のビジネスモデルを再検討し、コマースの専門家を確保してオンラインに力を入れていたら、少なくとも危機には陥らなかっただろう。B&Nとアマゾンでは出版ビジネスに対する認識が違っていた。それはどうにもならない。だから、B&Nを殺した(まだ死んでいないが)のはアマゾンではない。 (鎌田、10/04/2018)

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