新しいUI/UXの誕生:フォルダブル

samsung_foldableGoogleやサムスンなどスマートフォン各社から折り畳める機能とデバイスが発表され、2019年はAndroid OSが「フォルダブル」をネイティブでサポートする。これでE-Readerも含めて、モバイルのフォルダブルがUIのパラダイムとなりそうだ。個人的にはこれが読書のモバイル化への推進要素となるように思われる。

ついに「冊子本」を捉えた

samsung_foldable2サムスンが公開したプロトタイプは、二つ折り状態では従来型のスマートフォンだが、開けば7.3インチのタブレットにもなるもの。そのまま大画面で使える App Continuityのほか、最大3つのアプリを同時実行・表示する「マルチアクティブウィンドウ」をサポートする Infinity Flex は、Androidでも正式対応することになりそうで、表示可能な画面は6画面にもなる。(写真=サムスン)

これは「二つ折りスマートフォン」ではないし、見開き表示だけでもない、デスクトップ(マルチウィンドウ)のモバイル表示ということだ。大画面では自然なことだから、様々なコミックを含む様々なストーリー・アプリに利用されるだろう。つまり、デスクトップ上の大画面表示用のアプリをモバイルでも楽しめるようになる。いわゆる本(見開き)とコンピュータ(スクリーン)の融合だ。

正方形の画面を1対2として(長辺を最大化)使うか、また2つないしそれ以上の画面を余白に配置するかという選択肢が生まれる。後者はいわゆるイマーシヴな読書には不要だが、書込みや辞書など補助情報を必要とする「電子教科書」では標準的な使い方となるだろう。折り畳みがモバイル・インタフェースの画期的な転換点となると筆者が考えるのはそのためだ。電子ペーパーと液晶の併用も実用につながるだろう。

E-Bookの地平:過去の再現と未来の開拓

冊子 (codex)以前の本は、巻物 (scrol)が主体だった。それが半紙を繋げたサイズを基本とし、手書きに最適だったからだ。日本でも古典籍には版本と並んで巻本(まきほん)がある。考えてみればWebのスクロール表示は、巻本型表示を復活したものだが、人々はこれで「源氏」を絵巻で読めることを喜ばず、ページで区切られた本を開いて読む「正統」的読書が失われたことを嘆いた。

ancient_codexいま、モバイルリーディングは、スクロールはもとより、音声言語(聞く読書)も、見開き表示とマルチウィンドウまで手にした。過去の歴史的読書体験の遺産は、シミュレーションにより再現されることを意味する。デジタルが「紙」の読書体験を超えることを実感させるには、読書の基本的スタイルをデジタルにシミュレーションできることを示す必要があった。6インチのスレート型E-Readerはそれには足らず。物理的に「畳める」ことが次のハードルとなった。印刷と冊子という形態が出版ビジネスを可能としたように、オーディオ技術が音楽産業を創ったように、フォルダブルはモバイル・リーディングの時代を決定的とするだろう。

コンテンツは複製され、再現されてサービスと融合する。「過去を継承しつつ、未来を拓いていく」という筆者が考えた出版の理想に近づいたことになる。 (鎌田、03/06/2018)

 

参考記事

 

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