レン・リッジオと大型書店チェーンの終焉

B&N_floorB&Nの売却をめぐる新しい情報が Wall Street Journal (WSJ, 11/06)から伝えられた。パーネロス前CEOが売却交渉をしていた相手が、英国の大手小売 WHスミス社だったということだ。当事者は確認していないが、この情報は舞台裏を垣間見せてくれて、さらに多くの情報を誘引するものと考えられている。

敬遠させたのは泥仕合だけではない

WHS_logo2WH Smith (WHS)は、売上が16億ドルで、利益も2.13億ドル。書籍と文具を扱い、とくに空港に強い小売として知られる。今月には同業の InMotion(43空港114店舗)を2億ドルあまりで買収しており、そのこともB&N買収を検討し(そして泥仕合を敬遠し)た可能性を示唆するとされている。前CEOは交渉をサボったのではなく、条件の一つに「リッジオ氏の処遇」があり、そのことが破談およびCEO解任という「緊急措置」に導いた可能性が強いということだ。少なくとも情報の漏出源は、そのことを示唆しようとしている。B&Nは、売上こそ37億ドルだが、1.25億ドル損失を出している。しかも現在は減収・減益が加速している。安くても手を出しにくいだろう。

L_RiggioB&Nの運命はいつでも創業者のリッジオ氏とともにあった。「カオが命」の米国の旧い出版界の文化は、彼とともに終わるだろう。彼に対抗するために大出版社は吸収合併を繰り返し、ついには欧州のメディア資本の傘下に入ったほどだ。それほど彼の販売力・交渉力は群を抜いていた。Webとともに大書店チェーンの全盛時代は終わった。それは、「版」が出版ビジネスにおけるすべての富の源泉で、書店が出版ビジネスにおける唯一の「メディア」だったからだ。

出版社はもはや独裁者に怯える必要はないはずだが、印刷本においてさえアマゾンのシェアは、書店チェーンが手にしたことがないものとなっている。一つの「版」から多くのコピーを販売することで生まれる利益の追求を可能にした書店チェーンというビジネスモデルは、少なくとも巨大化を可能としたほどの有効性を失った。B&Nの買い手探しは困難をきわめるだろう。ビジネスモデルの再構築が必須となるからだが、この問題は別に考える必要がある。 (鎌田、11/08/2018)

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